2016-04-16 19:13:00

教皇、レスボス島で難民キャンプを訪問


教皇フランシスコは、4月16日、ギリシャのレスボス島を訪問し、難民たちとお会いになった。

レスボス島はエーゲ海東部に位置し、およそ20kmを隔て、トルコの海岸と面している。このため、同島はヨーロッパを目指す難民・移民の玄関口・中継地点となっている。国際移住機関(IOM)によれば、2015年だけでもおよそ40万人がトルコを経由しレスボス島に上陸、その約半数がシリア難民であるという。

同日朝、レスボス島の最大の町ミティリニに到着された教皇は、空港でチプラス首相、正教会のコンスタンティノポリ総主教・バルソロメオス1世、アテネおよび全ギリシャ大主教のイエロニモス2世に迎えられた。教皇は総主教らと抱擁を交わされた。

空港の控え室で教皇はまずチプラス首相と非公式の会談を行い、続いて、バルソロメオス1世とイエロニモス2世との3者で話し合われた。

バルソロメオス1世、イエロニモス2世と共に、教皇は東部モリアのキャンプを訪問。このキャンプでは、難民認定申請中の約2500人が生活している。

キャンプでは大勢の子どもが一行を迎え、教皇らは子どもたちと接する中で手紙や海の旅を描いた絵を手渡されたり、小さなコーラスに耳を傾けた。

テントの中で教皇とバルソロメオス1世、イエロニモス2世は、難民の家族らおよそ250人と出会い、避難の苦しみや、故郷や家族への思い、健康問題や、再び送り返される心配など、一人ひとりの話に通訳を介して注意深く聞き入った。

この後、バルソロメオス1世、イエロニモス2世、そして教皇は、それぞれ公式の挨拶を述べた。

「今日、わたしは皆さんと共にいて、皆さんはひとりぼっちではないということを言うためにきました」と教皇は述べ、紛争や迫害の状況から、家族、特に子どもたちのために多大な犠牲をはらって逃げざるを得なかった難民たちのこれまでの苦しみに思いをはせられた。

そして、教皇は、バルソロメオス1世、イエロニモス2世と一緒に、これらの人々の話に耳を傾け、この重大な人道危機に世界の関心を喚起し、その解決を祈りたいと話された。

危機の中にも人間は良いものを見出すことができると述べた教皇は、自らの危機の中にもこれらの難民に寛大に支援の手を差し向けるギリシャ国民、欧州や世界から難民を助けるために駆けつけた若者たちの存在を示しつつ、神は苦しみの中に人々を一人にはせず、常に誰かが手を差し伸べてくれると、難民らを励まされた。

「希望をなくしてはいけません」「わたしたちが互いに与え合うことのできるものは、愛です」と、教皇は難民たちにいつくしみの眼差しを注ぎ、その声に耳を傾け、勇気づけ、祈ることの大切さを強調。

ヨーロッパ大陸の人々が、福音書の「善きサマリア人」のように、兄弟愛と連帯、人間の尊厳の尊重の精神のもとに、これらの人々を助けることができるようにと祈られた。

バルソロメオス1世は「どのように難民を扱うかで、世界は判断される」、イエロニモス2世も「人間の価値を低く見積もることは、人類と連帯の破産である」と、それぞれ難民への支援と関心を訴えた。

続いて、3者は共同声明に署名。そこでは、難民たちが生きる人道的悲劇に対し、連帯と、寛大さ、そして迅速で効果ある支援を訴え、人命の保護は第一優先であると強調している。

3人の宗教指導者は、キャンプ内のコンテナハウスで難民の代表らと昼食を共にされた。

午後、一行はミティリニの港で、レスボス島の市民や、地元のカトリック共同体との集いを持った。正教徒が大多数のギリシャで、同島のカトリック共同体は小さなものであるが、難民らに積極的な支援を行なっている。

教皇はここでも、大きな困難に直面しているギリシャ国民が、それにも関わらず難民に心と扉を閉ざさなかったことに賞賛を表された。

壁は分裂を生むだけで、人民間の進歩を助けないと述べた教皇は、この悲劇的な危機を前にして人々が責任感と連帯を持つようにと願われた。

教皇は、バルソロメオス1世、イエロニモス2世と共に、亡くなった難民・移民たちのために祈り、海に花輪を投げられた。

最後に、教皇は空港でバルソロメオス1世、イエロニモス2世と再び3者で会談、チプラス首相とも短い会談を持たれた。

こうしてレスボス島訪問を終えられた教皇は、同日夕方、ローマに戻られた。

 








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