2016-01-11 15:27:00

教皇、駐バチカン外交団に新年の挨拶「冷たい無関心にいつくしみの温かさが勝るように」


教皇フランシスコは、1月11日、駐バチカン外交団と新年の挨拶を交換された。

この日、教皇宮殿の王宮の間には、新年恒例の集いのために世界各国の大使らが一堂に会した。

外交団への言葉で教皇は、バチカンは平和の声が地の果てに届くまで外交努力を続けていくだろうと表明。「いつくしみの聖年」開催中のこの年が、多くの心に宿る冷たい無関心に、いつくしみの温かさが勝る機会となることを願われた。

昨年11月のアフリカ歴訪の際、中央アフリカの首都バンギの司教座聖堂で、平和と対話の一歩として「いつくしみの聖年」の「聖なる扉」を開いたことに代表されるように、「いつくしみ」は、2015年のご自身の海外訪問を導く糸であったと教皇は回想。新しい対話の道を模索するサラエボ、歩み寄りと和解を求める南米(エクアドル・ボリビア・パラグアイ)、キューバと米国への旅を思い起こされた。

また、家庭を「いつくしみの最初の、そして最も大切な学び舎」として示された教皇は、家庭に対する深い関心を持たずして社会の発展はありえないと述べられた。

隣人に対する無関心の根源には個人主義があり、それは貧しい人々や虐げられた人々を前に、人間を臆病で冷笑的な者としてしまうと教皇は警告。特に、困難と苦しみを背負いながら、平和と尊厳のもとに生きるための場所を絶望的に求める移民たちに対する無関心を憂慮された。

最も無防備な人々の悲劇の多くは「切捨ての文化」と「権力の傲慢」によるものであり、合法的な移民が不可能な場所において、移民たちはしばしば人身売買を扱う人々にまで頼らざるを得ないと教皇は指摘された。

教皇は、移民問題は複雑であり、これを単なる一時的な危機と捉えず、中期・長期的な視野を持つことが必要と強調。

押し寄せる大量の移民に、受入れ国の社会が混乱し、ヒューマン精神が危機にさらされているヨーロッパの現状を直視しつつも、欧州は人間の中心性を守り、自国民の権利の保護と移民の受け入れ・支援を両立させる手段を見出だすことができるだろうと期待された。

難民らを寛大に支援する国際機関や各国に感謝を表された教皇は、移民は世界の未来にとって本質的要素であり、移民を尊厳と相互理解のもとに受け入れることは、過激主義や原理主義を排除する鍵となると説き、この問題へのますますの関心と努力を呼びかけられた。

教皇はまた、最近の国際情勢を展望する中で、イランの核開発をめぐる協議で合意を得たこと、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議で新たな国際枠組みに合意が生まれたことを評価される一方、ペルシャ湾地域の緊張、朝鮮半島で行われた軍事的実験、国際的なテロの広がり、中東の続く闘争など、平和構築において憂慮される数多くの問題を挙げられた。








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