2015-11-10 12:14:00

教皇、トスカーナを訪問「腰に帯を締めて、外に出よう」プラートの人々に


教皇フランシスコは、11月10日、中部イタリア・トスカーナ州を訪問された。

これはフィレンツェで開かれたイタリア全国教会会議への参加を目的としたもので、教皇はこの訪問で、フィレンツェとプラートの2都市に赴かれた。

同日朝、教皇はまず、プラート市に向かわれた。プラートの大聖堂前の広場では、教皇と労働界の人々との出会いが持たれた。

プラートは中世より毛織物によって栄え、現在も優れた技術の導入により繊維産業は地元経済の中心を保つが、近年の経済危機と海外からの安価な繊維製品の普及が経営・雇用に大きな影響を及ぼしている。

プラートの大聖堂には、聖母マリアの被昇天の際、それを信じず証拠を求める使徒聖トマスに、聖母ご自身が天上から帯を垂らしてトマスに与えたという伝説に基づく聖遺物、「サクラ・チントラ(聖なる帯)」が保管されている。

教皇は大聖堂内に入り、まず「サクラ・チントラ」の礼拝堂で祈りの時を持たれた。

そして、大聖堂正面外壁の角に張り出す「ドナテッロの説教壇」に上がられた教皇は、広場にに集った市民に挨拶をおくると共に、「聖母の帯」の街にふさわしく、「帯」をテーマとした説教を行われた。

この説教で教皇は聖書の中で「帯」が果たす役割に注目。出エジプト記 (12,11)で、主はイスラエルの民をエジプトの隷属から解放する前に、過ぎ越しの晩餐の準備させ、それを特別な方法、すなわち「腰に帯を締め」、急いで食べるように命じている点を指摘された。

教皇は「腰に帯を締める」とは、準備ができている、出発し、歩き始めるための心構えをができているということ、と述べられた。

今日も主は、無関心の中に留まらず、何かを捨てて誰かに会いに行くように、そして主と出会う喜びを分かち合うようにと呼びかけ、新たな宣教の情熱へとわたしたちを招いていると話された。

また、教皇はイエスが最後の晩餐で、弟子たちの足を洗った際、手ぬぐいを取って腰にまとわれたこと(ヨハネ13,4)、さらに「目を覚ましているしもべ」のたとえの中では、主人は帯を締めて、しもべたちを食事の席に着かせ、そばに来て給仕してくれること( ルカ 12,37)をも思い起こされた。

こうして主はしもべのように腰に帯を締めながら、わたしたちに寄添い、ご自身が率先して奉仕の模範を示してくださると述べた教皇は、主が隣人になさったように、わたしたちもまた身近にいる人々に奉仕しなくてはならず、近くにいるはずの人々が遠い人々であってはならないと説かれた。

プラートは海外からの移民の中でも特に中国系のコミュニティの大きさで知られる。広場では中国系のカトリック信徒らが横断幕や旗を掲げて教皇を歓迎する姿が見られた。

この説教で、尊重と、受け入れ、尊厳ある仕事が保証された社会の実現を訴えられた教皇は、その中で、2年前、プラートの工業地域で起きた火災で中国人労働者らが亡くなった事件に言及、劣悪な環境の中で生活し、働いていたこれらの人々の悲劇を悼まれた。

教皇は、すべての共同体は、社会の腐敗の病巣や、人間の搾取、違法性に対して徹底的に闘わなくてはならないと述べ、まず自分自身の中で、そして人々と手を取り合い、真理と正義のために闘っていくよう呼びかけられた。

 








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