2015-06-21 12:26:00

教皇、トリノを訪問、労働界との出会い、聖骸布前での祈り、市民参加のミサ


教皇フランシスコは、6月21日、北イタリア・ピエモンテ州の州都トリノを司牧訪問された。

この訪問は、トリノ大聖堂で現在特別公開されている聖骸布の崇敬と、青少年の父、聖ヨハネ・ボスコ(ドン・ボスコ、1815-1888)生誕200年を祝うことを目的としたもの。

教皇は21日(日)、22日(月)の2日間トリノに滞在。初日には労働界との出会い、聖骸布前での祈り、市民参加のミサ、ドン・ボスコが創立したサレジオ修道会関係者との集い、病者たちへの励まし、若者との交流を行われた。2日目には、プロテスタントのヴァルド派教会への訪問などを予定している。

トリノ訪問初日、教皇はまず市内の王宮小広場で労働界との出会いを持たれた。

トリノとその周辺は、イタリアでも有数の産業地帯であるが、近年の経済危機の波はここにも押し寄せている。地元の労働者や企業家が参加したこの集いでは、代表として、工場作業員、園芸農家、中小企業経営者らが、産業界の現状と挑戦、信仰に基づく希望などを語った。

教皇は、労働とは経済のためだけでなく、人間とその尊厳のため、また市民、社会の一員であるために必要なものと強調。

経済危機が失業や社会の亀裂を生み、それが個人の尊厳や、家族、健康に与える影響を深く憂慮された。

こうした中、よりよい生活を求めてイタリアにやってくる移民たちに対する風当たりの強さにも教皇は言及。移民たちは不平等と、使い捨ての経済、戦争の経済の犠牲者であると述べ、この危機を移民たちのせいに転化してはならないと話された。

生産しない者はすべて排除するという「使い捨ての経済」の論理が、貧しい人、子どもや高齢者、さらには若者までを社会から排除してしまうと教皇は警告を発せられると共に、利益と生産の機能だけでなく、共通善を考えた経済システム構築の必要性を訴えられた。

この後、教皇は、トリノ大聖堂に赴き、聖骸布の前で祈りの時を過ごされた。聖骸布は、キリストの遺体を包み埋葬するのに使用されたと伝えられる亜麻布。聖骸布は特別な機会を除いて普段は公開されていないが、このたび聖ヨハネ・ボスコ生誕200年を機に6月24日まで公開されている。

続いて、教皇は市内のヴィットリオ・ヴェネト広場でミサを捧げられた。広大な会場にはおよそ10万人の信者が詰め掛けた。

ミサの説教で教皇は、「イエスはわたしたちをいつも、際限なく愛してくださいます。イエスの愛は忠実です」と、神の人間に対する偉大な愛を説かれた。

「イエスは、わたしたちが過ちをおかした時も、わたしたちを赦すために待ってくださいます。イエスはいつくしみ深い御父のみ顔なのです。」

「神の愛は忠実で、すべてを新たにします。しかし、人を再生させる神の愛に自分を開くためには、人は自分の限界と弱さを認めなければなりません。」

教皇はこのように、イエスに自分を開き、赦しと深い再生の愛を体験するよう招かれた。

ピエモンテの人々の忍耐強い性格に触れた教皇は、神の愛という岩にしっかりと留まるよう信者を招くと共に、この地が生んだ数多くの聖人・福者たちの貧しい人々や社会への福音的愛の奉仕を思い起こされた。

聖骸布は受難のイエスの傷ついた顔と体を観想させると同時に、すべての苦しむ人々、不当に迫害される人々の顔にわたしたちの心を向けさせると述べた教皇は、イエスの愛と同じ方向に進んでいくよう、信者らを励まされた。

信仰に固くとどまり、この祝福された地の塩であり光であるようにと願われた教皇は、「わたしもこの地の孫です」と、ピエモンテ出身の移民であるご自身の家系に触れられた。

 








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