2014-07-22 19:17:30

イラクのキリスト教徒への迫害広がる、修道院も占拠


イラクの国内情勢が混迷する中、イスラム教過激派によるキリスト教徒への迫害が拡大している。

特にイラク北部モスルでは、現地を支配下に置くイスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」が、キリスト教徒に対しイスラム教への改宗か、人頭税を要求。この脅迫によって、キリスト教徒たちは家や教会を離れ、集団で脱出することをやむなくされた。

モスルのシロ・カトリック典礼ヨハンナ・ペトロス・モシェ大司教によれば、司教館は放火され、マル・ベナムの歴史ある修道院も過激派に占拠されたという。

また、バグダッドのカルデア典礼サード・シロウブ補佐司教は、モスルを追われたキリスト教徒たちについて、イラク北部のクルディスタン地域、アルビールや、キリスト教徒の村があるニネベ方面に向かっていると述べた。迫害を逃れて脱出した人々は、家、車、お金、仕事を奪われ、何も持たない状態で、非常に困難な状況に置かれおり、これらの家族を緊急に支援する必要があると話した。

22日、バグダッドでは緊急の司教会議が開かれた。モスルのカルデア典礼アメル・シャモン・ノナ大司教によれば、この会議でイラクのキリスト教徒に起きている悲劇を「人類への犯罪」として世界に訴えると共に、キリスト教徒および他のすべての少数派の人々に対する保護、避難民への支援、これらの家族に住居と学校を見つけることの3点を、急務として示したという。

また、同大司教は、文化遺産としてのモスルの教会群や歴史的重要資料である貴重書などの保全を憂慮した。

同大司教によれば、バグダッドでは100人ほどのイスラム教徒の人々がキリスト教徒に対する連帯を表明してくれたほか、モスルでもイスラム教徒が町の外まで車でキリスト教徒を送るなど、市民間では目立たないが連帯の行為も見られるという。

「教皇のイラクのキリスト教徒たちに対するアピールはわたしたちに大きな力を与えてくれました。今、わたしたちは全世界のキリスト教徒たちの具体的な連帯の行為を待っています」とノナ大司教は話した。








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