2014-06-13 18:52:13

教皇一般謁見・カテケーシス・聖霊の賜物⑤「知識」(2014.5.21)


親愛なる兄弟姉妹の皆さん

今日は聖霊のもう一つの賜物、「知識」について考察したいと思います。「知識」という時、自分たちを取り巻く現実や、大自然や宇宙を支配する様々な法則などをより理解するための一種の人間的能力だと考えがちです。しかし、聖霊から来る「知識」は、人間的な知識に留まることのない、特別な賜物です。被造物を通して神の偉大さやその愛、すべての被造物と神との深い関係をわたしたちに理解させてくれます。

1.わたしたちの目が聖霊によって照らされると、神の観想へと開かれていきます。大自然の美と宇宙の壮大さにおいて、わたしたちはすべてが神とその愛を語っていることに気づくのです。これらはわたしたちの中に大きな驚きと深い感謝の念を引き起こします。それは、わたしたちが芸術作品や、天才や創造性のすばらしい実りを目にして感じるのと同じ感覚です。これらを前に、聖霊は、わたしたちに心の底から神を賛美させ、それらの中に神の計り知れない恵みと、わたしたちへの神の無限の愛のしるしを認めさせてくれるのです。

2.旧約聖書の「創世記」第1章、まさしく全聖書の最初の箇所に、神がご自分でお造りになったあらゆるものの良さと美しさを繰り返し強調しながら、それらを好まれたと明記されています。日ごとの創造の後に、毎回次のように書かれています。「神はすべてをよしと見た」と(1,12.18.21.25) 。神が被造物を良いものと見なしたことは、素晴らしいことです。わたしたちも神のこの態度を自分のものとしなければなりません。わたしたちも神と同じように、被造物は良いものであり、また美しいと見るべきです。

「知識」の賜物はこのように、美をわたしたちに見せてくれます。神を賛美し、これほどたくさんの美を与えくれた神に感謝しましょう。神が人間を創造された時、「良いと見た」とは記されていません。「大変良いと見た」と書かれています( 31)。神の目には、わたしたちは最も美しく、偉大で、被造物のうちで最も良い存在なのです。主はわたしたちを愛しています。このためにも神にいつも感謝しなければなりません。「知識」の賜物は、わたしたちを創造主との深い調和の中においてくれます。そして、わたしたちに神の眼差しと、その判断の透明さとに参与させてくれます。こうして、人間は一人ひとりの中に計画されている神の愛のご計画の完成として創造界の頂点に立っていること、そしてわたしたち皆が兄弟姉妹であることを認識させてくれるのです。

3.これらすべては、平和と穏やかさの理由であり、創造された世界の観想を通して、神を賛美し、その愛を歌うことのできた、あのアッシジの聖フランシスコや他の多くの聖人たちのように、キリスト者を神の喜びにあふれた証し人とするものです。

また、「知識」の賜物は、ある種の間違いや、極端に陥ることのないよう、わたしたちを助けてくれます。第一の間違いは、わたしたちがこの創られた世界の主人だと思い込むことです。世界は誰かの所有物ではありません。自分の好きなように取り扱ってよいものでもありません。ましてや、ある一部の人々の持ち物でもありません。この世界は恵みです。神がわたしたちにしてくださった素晴らしい贈り物です。神がそうされたのは、わたしたちがそれを保護し、すべての人の益のために、常に大きな尊敬と感謝を込めて利用するようにとのためでした。

二番目の間違った態度は、わたしたちのどのような期待にもこの世界は答えてくれると思い込み、自分たちの思考をこの世界だけに留めてしまうことです。「知識」の賜物は、このような誤りに陥らないよう助けてくれます。

最初の間違った道について再び考えて見ましょう。それは、この世界を保護するのではなく、支配しようとすることです。わたしたちはこの世界を守らなければなりません。なぜなら世界は主がわたしたちにくださった恵み、贈り物なのですから。わたしたちは世界の守り手でなければなりません。この世界を悪用し、破壊する時、わたしたちは神の愛のしるしを壊すことになります。世界を破壊することは、あたかも神ご自身に「わたしは嫌いです」と言うようなものです。これは良いことではありません。これこそ罪ではないでしょうか。世界を守ること、それはまさしく神の恵みを守ることであり、神に「ありがとうございます、わたしはこの世界をますます発展させるための守り手となります。あなたからの贈り物をけっして破壊することはありません」と言うのと同じことです。この世界に対するわたしたちの態度はこのようでなければなりません。この世界を守ること。もしわたしたちが世界を破壊するなら、今度は世界がこのわたしたちを破壊することになるでしょう。このことを決して忘れてはなりません。

ある時、わたしは田舎にいました。そこで花をとても愛し大切に育てていたある素朴な人から、こんなことを聞きました。その人はわたしにこう言いました「神様がくださったこの美しいものを、わたしたちは守らなければなりません。この世界は、わたしたちがそこから良いものを引き出すためにあるのです。それを乱用するのではなく、保護すべきです。神様はいつもわたしたちを赦してくださいます。わたしたしたち人間も時々は赦します。けれども、自然は赦すことはありません。もしあなたがそれを保護しないなら、自然があなたを破壊するでしょう」と。 このことは、神からの最も美しい贈り物であるこの世界、大自然を良く理解するために「知識」の賜物を聖霊に真剣に願わなければいけないと考えさせます。神は最も良い被造物、人間のために、素晴らしいたくさんのものを創造してくださったのです。








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