2014-04-30 17:02:26

ヨハネ23世・ヨハネ・パウロ2世列聖式・教皇説教(2014.4.27)



ヨハネ・パウロ2世が「神のいつくしみの主日」と名づけた、「復活の8日間」を締めくくるこの日曜日、典礼は「復活のイエスの栄光ある傷」を思い起こします。

安息日の翌日、すなわち復活の日の夕方、イエスは使徒たちの前に初めて現れ、その時にすでに受難の傷をお見せになりました。しかし、その夕方にトマスはいませんでした。他の弟子たちが主を見たとトマスに言った時、彼は、その傷を見て、手で触れない限り自分は信じないと答えました。8日後、イエスが再び弟子たちの間に現れた時、トマスもいました。イエスはトマスにご自分の傷口に触れてみよと言いました。すると、率直で、何でも自ら試すことを旨としていた彼は、イエスの前に跪き、「わたしの主よ、わたしの神よ!」(ヨハネ 20,28)と言ったのです。

イエスの傷口は信仰にとってつまずきであると同時に、信仰の試しでもあります。それゆえに復活のキリストの体の傷は消えることなく残ります。それは、あの傷は神のわたしたちに対する愛の永遠のしるしだからです。それは、神の存在を信じるためではなく、神が愛であり、いつくしみであり、誠実であることを信じるためなのです。聖ペトロはイザヤ預言者の言葉を引きながらこのようにキリスト者たちに書いています。「そのお受けになった傷によってあなたがたは癒されたのです」(1ペトロ 2,24、イザヤ 53,5)。

聖ヨハネ23世と聖ヨハネ・パウロ2世は、イエスの傷を見つめ、自分の手でその釘跡と槍で貫かれたわき腹に触れる勇気を持った人たちでした。彼らはキリストの肉を恥じることはありませんでした。キリストとその十字架につまずくことはありませんでした。兄弟の肉を恥じたりしませんでした(イザヤ 58,7)、なぜなら彼らは苦しむすべての人の中にイエスを見ていたからです。二人は勇気ある人間、真理を告げる聖霊の力に満ち、教会と世界に神の優しさといつくしみを証しした人たちでした。

二人は20世紀を司祭、司教、教皇として生きました。彼らは悲劇を体験しましたが、それらに打ちのめされることはありませんでした。彼らの中で、神の方がより勝っていたのです。人類の贖い主、歴史の主である、イエス・キリストにおける信仰の方がより強かったのです。彼らの中で、5つの傷を指し示す、いつくしみである神の方が、そして母として寄添うマリアの方がより強かったのです。

キリストの傷を観想する人、そしてキリストのいつくしみを証しする人であった二人の中には、「生きた希望」と共に「朽ちることのない栄光に満ちた喜び」が宿っていました。
復活のキリストが弟子に与えるのは、希望と喜びであり、それは誰も奪うことのできないものです。その復活の希望と喜びとは、自分を脱ぎ捨て無にし、罪人たちに極限まで寄添い、嫌な苦い杯を受ける試練を経たものです。2人の聖人教皇が復活の主から受け取った恵みは、この希望と喜びでした。そして、それを受けた彼らは、神の民のために寛大に奉仕しました。

エルサレムの初期キリスト教共同体には、この希望と喜びが息づいていたことを、使徒言行録は語っています( 2,42-47)。この共同体は福音の本質、すなわち愛といつくしみを、清貧と兄弟愛のもとに生きていました。

これこそ第2バチカン公会議が自ら描いていた教会の姿です。ヨハネ23世とヨハネ・パウロ2世は、聖霊に協力し、世紀にわたり聖人を生んだ教会の本来の姿を取り戻させ、教会を刷新しようとしました。わたしたちはまさに聖人たちが教会を前進させ成長させてきたということを忘れてはなりません。

公会議を召集するにあたり、聖ヨハネ23世は細心の従順さをもって聖霊に公会議を導かせると共に、教会にとって聖霊に導かれた司牧者・指導者となりました。これがヨハネ23世の教会に対する偉大な奉仕でした。それゆえ、わたしはヨハネ23世を聖霊に従順な教皇と考えるのです。

この神の民への奉仕において、聖ヨハネ・パウロ2世は、家庭のための教皇でした。実際、彼自身、「家庭の教皇」として思い出してもらいたいと、言ったことがありました。家庭のための、家庭と共にあるシノドスに向けて歩む今、ヨハネ・パウロ2世が天国からこの歩みを見守り、支えてくださると確信しています。

2年間のシノドスの歩みの中で、教会が家庭司牧の奉仕において聖霊に従順であるよう、新しい両聖人、この神の民の聖なる司牧者たちが取り次いでくださいますように。そしてわたしたちがキリストの傷につまずくことがないよう、常に愛するがゆえに、常に願い、常に赦す神のいつくしみの神秘にわたしたちが入り込むことができるよう、二人の聖人教皇が教えてくださいますように。








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