2014-02-13 17:26:53

神の母マリアの大祝日・教皇ミサ説教(2014.1.1)


今日のミサの第一朗読は、アーロンがその息子たちに教えるようにと神がモーセに勧めた祝福の祈りを私たちに伝えています。
「主があなたを祝福し、あなたを守られるように。主が御顔を向けてあなたを照らし、
あなたに恵みを与えられるように。主が御顔をあなたに向けて、あなたに平安を賜るように」(民数記6,24-26)。

新しい年の初めにあたり、この祝福の言葉を聴くのはなんと意味深いことでしょう。この新しい年の歩みを祝福に満たす、力強い、勇気と希望の言葉です。それは、はかない人間的な約束に基づくまやかしの希望ではなく、よりよい未来を単純に思い描く素朴で無邪気な希望でもありません。この希望は、その根拠をまさしく神の祝福の中においています。わたしたち一人ひとりに対する教会の祝賀、主の愛情溢れる祝福と、その助けにに満ちた最も大きな祝賀を含む祝福です。

この祝福に含まれる祝賀はすべて他の誰よりも先に、神の御母となった一人の女性、マリアの中で実現されています。

神の御母。この称号は、マリアの第一の本質的な称号です。キリスト教徒たちの信仰が天の母に対して抱く愛と崇敬において常に感じ取っていたこの称号は、一つの資質、一つの役割です。

古代教会のあの偉大な歴史的出来事、エフェソ公会議のことを思い起こしましょう。この公会議において、聖母マリアの神母性は荘厳に宣言されました。マリアの神母性の真理はやがてローマにも影響を及ぼしました。それからすぐ後、ローマおよび西方における最初の聖母聖堂「 サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂」が建立されました。聖母マリアはここで「テオトコス」神の御母、「ローマの民の救い」という称号の下に崇敬されています。

エフェソの人々はこの公会議の間、司教たちが集まっていた大聖堂の扉の両側に立ち、「神の御母」と叫んでいたと言われます。信者たちはこの称号が正式に宣言されることを願うことで、神母性を自分たちがすでに認めていることを示したのです。それは自分たちの母親をよく知っている子どもたちの、ごく自然で誠実な態度でした。なぜなら、彼らは大きな愛で母を愛していたからです。しかし、それ以上にこれは、その一致において、決して間違うことのない神の民の「信仰感覚」によるものでした。

マリアは、いつもキリスト教徒たちの心の中、その信心、特にその信仰の歩みに現存していました。「教会は時の中を歩みます。この歩みの中を聖母マリアがたどった道筋を再びたどりながら進むのです」 (ヨハネ・パウロ2世・回勅「レデンプトリス・マーテル」 2)。

わたしたちの信仰の歩みは、聖母マリアがたどったその歩みと同じです。ですから、わたしたちは聖母を特に身近に感じるのです。キリスト教生活の中核である信仰に関して、神の御母はわたしたちと同じ条件を生きました。わたしたちが歩む、時に困難で暗い同じ道を聖母マリアも歩まねばなりませんでした。聖母マリアもまた「信仰の旅路」を進まなければならなかったのです (「教会憲章」58)。

イエスが十字架上でお亡くなりになる時、「これはあなたの母です」と言って、聖母をわたしたちの母として与えてくださったその時から、我々の信仰の歩みは聖母に堅くに結ばれています(ヨハネ 19,27)。これらの言葉は、イエスの遺言の価値をもって、世界に母を与えるのです。あの瞬間から、神の御母はわたしたちの母にもなったのです。

使徒たちの信仰が多くの困難や疑いで弱くなってしまった時、イエスは第一に信じたお方、その信仰が決して弱まることのなかったお方にその弟子たちを託しました。神であるその子を失った時、「婦人」(マリア)は母となりました。その傷ついた心は善人にも悪人にも、すべての人々に向かって大きく開かれ、イエスが彼らを愛したように、マリアも彼らを愛します。

ガリレアのカナの婚宴の席上で、世界に神の神秘を示すために、その信仰の協力を提供したあの「婦人は」、カルワリオの丘の上でその子の復活に対する信仰の炎を灯し続けました。そして、それを母としての愛をもって他の人々に伝達するのです。マリアはこうして希望と真の喜びの源泉となりました。

救い主の母は、信仰においてわたしたちの前を歩み、絶えずわたしたちを力づけてくれます。その謙遜と神のみ旨に対する従順の手本によって、わたしたちの信仰を喜ばしい福音の宣言へと変えることを助けてくれます。こうしてわたしたちのミッションは実り豊かなものとなるでしょう。なぜなら、マリアの母性をそのモデルとしているからです。

聖母にわたしたちの信仰の歩みを託しましょう。わたしたちの心の願望と必要、特に全世界が必要としている正義と平和、神に対する飢え渇きを聖母マリアに託しましょう。皆で共に聖母に祈りましょう。今、あのエフェソの兄弟たちのように「神の御母」と三回唱え祈るよう皆さんを招きます。
「神の御母」「神の御母」「神の御母」 アーメン。








All the contents on this site are copyrighted ©.