2013-01-08 18:58:51

教皇、外交団に新年の挨拶、平和・命・経済危機をテーマに


教皇ベネディクト16世は、7日、駐バチカン外交団に年頭の言葉をおくられた。

この日バチカン宮殿の王宮の間には、世界各国の大使らが一堂に会し、教皇と新年の挨拶を交換した。

現在バチカンと外交関係のある国は179カ国、これにマルタ騎士団と欧州連合が加わるほか、パレスチナ解放機構も特別使節を派遣している。

教皇は外交団を前に、国際情勢を展望しつつ、平和、命の尊重、経済危機などをテーマに話された。

今日、真理や、正義、平和というものは空想に過ぎないと考える傾向がしばしば見受けられることや、平和への働きかけが妥協を探すだけのものになっていることを教皇は指摘。

キリスト教的な考え方では、神の栄光と人々の平和の間には緊密な関係が存在するが、超越した存在に自らを開くこと無くしては、人は安易な相対主義に陥り、正義に基づいて行動し、平和構築に取り組むことが困難になると述べられた。

こうした中、教皇はシリアが闘争を直ちに停止し、建設的な対話の席に着くことを訴えると共に、イスラエルとパレスチナの2つの主権国家としての平和な共存への努力、イラクの和解と安定、レバノンの未来に向けた平和へ取り組みを呼びかけられた。

また、アフリカの情勢に目を向けられた教皇は、同大陸の角地帯、コンゴ民主共和国東部、マリ、中央アフリカ、ナイジェリアに平和をアピールされた。

教皇は平和の構築と基本的人権の関係に触れながら、欧州評議会議員会議で安楽死の禁止が採択されたことを喜ばれる一方、キリスト教国を含む多くの国々で堕胎に対する規制の軽減化、自由化が行なわれていることに遺憾の念を示された。

「中絶そのものを目的とする行為は、自然法に重大に反する」と教皇は述べ、カトリック教会は「母体に対する理解といたわりを欠かすことなく」、「母と子の同等の権利が法によって不当に傷つけられることのないよう注視している」と話された。

さらに、多くの国を覆う経済危機について言及された教皇は、労働を犠牲とし、利益追求を至上の目的とした現在の経済金融の構造が歯止めの利かない状況となっていることを深く懸念。労働の意義とそれに対するふさわしい利益の感覚を取り戻し、一部の目先の利益に囚われず、共通善を目指さすことが重要と強調された。









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