2012-12-25 13:00:57

降誕祭2012:教皇によるクリスマス・メッセージと祝福


主の降誕の大祝日を迎えた25日、教皇ベネディクト16世はバチカンから、ローマと全世界に向けた祝福とメッセージ、「ウルビ・エト・オルビ」をおくられた。

ローマは薄日の差す、比較的暖かい降誕祭を迎えた。教皇の祝福を受けようと、聖ペトロ広場には朝早くから巡礼者らが繰り出し、モミノキやプレゼピオを囲みながら、バチカンの楽団とイタリアの憲兵隊の楽団の調べに喜ばしい雰囲気を味わっていた。

正午に聖ペトロ大聖堂の中央バルコニーに立たれた教皇は、クリスマスのメッセージを読み上げられた。

この中で、教皇は「真理は地から萌え出でた」という詩編(85,12)の一節を引用。すべての人類にとって新しい命の芽吹きとなったイエスの誕生を観想しながら、人々が神に信頼と希望を置き、世界のすべての地に愛・真理・正義・平和を芽生えさせていくよう祈られた。

続いて、教皇は日本語を含む各国語で主の降誕のお祝いを述べ、最後にローマと全世界の人々に祝福をおくられた。

教皇の2012年度クリスマス・メッセージは以下のとおり。

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«Veritas de terra orta est!» 「真理は地から萌え出でた」 (詩編 85,12)

ローマと全世界の親愛なる兄弟姉妹の皆さん、皆さんとご家族に主のご降誕のお祝いを申し上げます!

今年の「信仰年」にあたり、わたしは詩編のこの言葉をもって、降誕祭の挨拶にしたいと思います。

「真理は地から萌え出でた」。詩編のテキストにおいて、わたしたちはこの言葉を実際には未来に見出します。「真理は地から萌え出でるだろう」。このお告げ、約束は、他の言葉と共にこのように響くのです。「慈しみと真理は出会い、正義と平和は口づけし、真理は地から萌え出で、正義は天から注がれる。主は必ず良いものをお与えになり、わたしたちの地は実りをもたらす。正義は御前を行き、主の進まれる道をととのえる」(詩編 85,11-14)。

今日、この預言的な言葉は完成しました!ベツレヘムにおとめマリアから生まれたイエスにおいて、愛と真理は本当に出会い、正義と平和は口づけしました。真理は地から萌え出で、正義は天から注がれたのです。聖アウグスティヌスは簡潔に説明しています。「真理とは何か?神の御子である。地とは何か?肉である。キリストはどこから生まれたかを問い、どうして真理が地から萌え出でたかを見るがよい。…真理はおとめマリアから生まれたのだ」(En. in Ps. 84,13)。そして、主の降誕についてこのように明言しています。「毎年のこの祝日によって、預言が実現した日を記念するのである。『真理は地から生まれ、正義は天から現れた』。御父の懐において、真理は地から生まれた。それは母の胎からも生まれるために。全世界を支える真理は地から生まれた。それは女の手に支えられるために。天がそれを収めきれなかったほどの真理は、地から萌え出で、まぐさ桶の中に寝かされた。至高の神は誰のためにこれほど身を低くされたのか。当然それはご自分のためではない、信じるならば、それはわたしたちのためなのである。」(Sermones, 185, 1)


「信じるならば」。ここに信仰の力があります!神はすべてを、不可能なことを行われました。神は肉の体をとられたのです。神の愛の全能は、人間の理解を超えることを実現されたのです。無限の神は幼子となられ、人類の中に入って来られました。それにも関わらず、この同じ神は、わたしが扉を開けない限りわたしの心の中に入って来られないのです。ポルタ・フィディ!信仰の扉!わたしたちはこの逆説的な万能の神を前に、驚き立ち尽くすだけかもしれません。人間が神に対して心を閉ざすこの力は恐ろしいものです。しかし、ここにこの暗い考えを消し去る現実、怖れに打ち勝つ希望があります。真理は萌え出でたのです!神はお生まれになりました!『地は実りをもたらした』(詩編67,7)のです。そうです、ここには良い「地」、あらゆる利己主義や閉鎖から自由な、良質な土壌があるということです。世界には、神がわたしたちの間に住まわれるために用意された地があるのです。それは神がこの世におられるための住まいです。この地は、2012年の今日にも存在し、そしてこの地から、真理は萌え出でたのです!ですから、この世には希望が、より困難な時や状況にあっても信頼できる希望があるのです。真理は萌え出でながら、愛と正義と平和をもたらしました。

そうです、平和がシリアの人々のために生まれますように。ここで人々は、非武装で無実の市民をも巻き添えにする闘争に深く傷つき、引き裂かれています。わたしはここで、流血の暴力を止め、避難民の救助を容易にし、対話を通して闘争に対する政治的解決を進めるよう、改めてアピールしたいと思います。

贖い主がお生まれになった地に、平和が萌え出でますように。そして、イスラエルとパレスチナの人々に長すぎた闘争と分裂に終止符を打ち、決意をもって和平への道を歩む勇気を与えてくださいますように。

新しい未来を模索し、大きな転換期にある北アフリカの国々、特に幼年期のイエスによって愛され祝福された地、エジプトにおいて、市民が共に、正義に基づく社会と、すべての人の自由と尊厳の尊重を築くことができますように。

平和が広いアジア大陸に芽吹きますように。幼子イエスがこの地に住む数多くの人々、特に彼を信じる人々を愛情をもって見つめてくださいますように。平和の王がその眼差しを、中華人民共和国の新しい指導者たちに、彼らが担う大きな課題のために、注いでくださいますように。彼らが宗教の貢献を生かすことで、それぞれの尊重のうちに、これらの宗教が高貴な国民と全世界のために、連帯に満ちた社会の構築に寄与することができますように。

キリストのご降誕が、マリに平和を、残忍なテロ攻撃によってキリスト教徒をはじめ多くの犠牲者を出し続けているナイジェリアに調和を取り戻してくださいますように。贖い主がコンゴ民主共和国・東部の難民に助けと慰めを、流血の暴力が市民や信仰の場所を襲ったケニアに平和を与えてくださいますように。

幼子イエスが、彼を祝うラテンアメリカの多くの信者たちを祝福してくださいますように。彼らの人間的な徳・キリスト教的徳を育み、家族や故郷から離れ移民せざるを得ない人々を支え、発展を考え、犯罪との闘いに取り組む治世者たちを強めてください。

親愛なる兄弟姉妹の皆さん!愛と真理、正義と平和は、ベツレヘムでマリアから生まれた人の中で出会い、具現化されました。その人とは神の御子、歴史の中に現れた神です。彼の誕生は、すべての人類にとって新しい命の芽吹きです。すべての地が、愛・真理・正義・平和を受け入れ、芽生えさせる良い地となりますように。皆さん、クリスマスおめでとうございます!








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