2012-09-15 18:58:38

レバノン訪問:教皇「平和と共存を育て、生きよう」各界代表者との集い


教皇ベネディクト16世は、訪問先のレバノンで15日、同国の政治・文化・宗教関係者らとお会いになった。

司牧訪問2日目、教皇はベイルート郊外バーブダの大統領官邸を訪問し、スレイマン大統領と会談。教皇と大統領は共に、官邸の庭園にレバノンのシンボルである杉を植樹した。

この後、同官邸内で教皇はミーカーティー首相およびベッリ国会議長ともそれぞれ会見。続いて、政府および政界関係者、外交団、イスラム教をはじめとする諸宗教指導者、文化人らと挨拶を交換された。

レバノン各界の代表を前に行われた講演で、教皇は平和と共存を訴えられると同時に、平和の基礎となる人権の尊重、命や家庭の保護、連帯や対話、宗教の自由などの大切さを説かれた。

国や社会の豊かさはそこに生きる人々の豊かさであり、一人ひとり、そしてすべての市民がその未来、平和への責任を負っていると教皇は述べ、この平和への努力は社会が一致してこそ可能になると話された。

しかし、「一致」とは「一様」を意味するのではなく、社会の結束は一人ひとりの尊厳の尊重と、各人の責任ある参加によって保証されると教皇は強調された。

平和を築くには、人間の基本的尊厳に常に立ち返る必要があると話された教皇は、人間が生まれてくる場所である家庭の保護、そこから育まれる命の文化の重要性を指摘。「平和を求めるなら、命を守らなくてはならない」と述べられた。

人間の命、尊厳ある生活、平和な共存に対する攻撃は、恐ろしい武力闘争や戦争だけでなく、失業や貧困、収賄、あらゆる形の依存、搾取、テロ、経済問題など、いたる場所で見出されると教皇は注意を促し、調和ある社会の構築を妨げるこれらの要因に、連帯と対話・協力をもって対抗しなくてはならないと話された。

また教皇は、平和ある未来のためには、平和の文化をつくる教育が不可欠であるとし、平和の思考・言葉・態度は、尊重と誠実、和やかさを生み、そこでは真理のうちに過ちや侮辱に気づき、共に和解へと進むことができると指摘された。

レバノンにおいてキリスト教とイスラム教は何世紀もの共存の歴史があり、同じ家族の中に双方の宗教が存在することもまれではないと教皇は言及。同じ家族の中で可能なことは社会の中でも可能なはずであると、これからも人々の対話が継続され、平和構築のための重要な要素である宗教の自由が保証されることを強く願われた。

平和や人間の尊厳、家庭や命、対話や連帯、これらの価値は理想や言葉に終わらず、実際に生きなくてはならないと説かれた教皇は、一人ひとりに託された平和への使命を、あらゆる状況の中で勇気をもって証して欲しいと呼びかけられた。








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