2011-09-13 17:45:01

アンコーナ訪問:教皇と若い婚約者たちとの出会い「聖母の教えを宝物に」


教皇ベネディクト16世は、イタリア中部アンコーナを司牧訪問した11日、若い婚約者たちとの出会いを行われた。

この日の夕方、アンコーナ中心部のプレビシート広場には、結婚を考える男女をはじめ多くの若者たちが集い、教皇が現代の青年に向ける愛情に満ちた言葉と教えに真剣に聞き入った。

教皇は、ある意味で今日の社会の状態は特に若い人々にとって決して安易なものではないと述べ、安定した仕事を得られないことが未来を不安なものとし、人生の重要な決定を妨げ、その若さによる創造力やエネルギーを社会で十分発揮できない状況を見つめられた。

また、明確な道徳基準を持たないままに、それぞれが個人主義的かつ刹那的に行動し、共同体的意識を持たず、生活を分かち合うことに重きを置かない現代の文化的傾向にも触れられた。

「どのような状況にあっても、皆さんは神に愛され、その愛に守られています」と教皇は述べ、試練と困難を恐れず、信仰に固くとどまり、希望と勇気を持ち続けるよう呼びかけられた。

教皇は福音書の「カナでの婚礼」のエピソードで、たくさんの美味が調った婚礼の食卓で、祝いのぶどう酒が足りなくなってきた場面に、多くのことに恵まれながらも未来に不安を抱える現代の若者たちの状態を投影。

しかし、こうした状況の中で、カナにおける婚礼にイエスと共に招かれていた母マリアが言った言葉とその態度を思い出すように、教皇は若者たちに勧められた。

マリアはカナの婚礼でぶどう酒が足りなくなった時、イエスに「ぶどう酒がありません」と告げ、給仕の人たちに「なんでもこの人(イエス)の言うとおりにしてください」(ヨハネ2,5)と言った。イエスに言われたとおりに給仕たちが水がめに水をいっぱいに入れると、それは良いぶどう酒に変わった。

「イエスの言うとおりにしてください」という、四福音書で最後のものとなる聖母の言葉、聖母の霊的遺言ともいえるこの言葉を宝物とすることで、皆さんは常に祝宴の喜びを得ることができるでしょうと教皇は説き、「イエスこそが祝いのぶどう酒です」と話された。

教皇は会場の若い婚約者たちに向けた言葉で、出会いの素晴らしさに開かれ、互いの存在の大切さを発見するという人生のかけがえのない時期を誠実に、一歩一歩生き、神の愛を反映し、証しするという、高い愛の理想を諦めないよう願われた。

そして、婚約者たちが社会の中でキリスト教的愛を証しするためには、偽りの心地よさを求めて自分たちだけの世界に閉じこもることなく、二人の存在が共同体の中でパン種となっていくような役割を積極的に担っていくことが望まれると話された。

愛が本物となるためには、最初の頃の互いに惹かれあう感情から、相手の善を願うようになるまで、成熟への道のりが必要と教皇は述べ、自己犠牲と、赦し、相手に対する尊重を育てながら段階的に愛を生きて欲しいと希望された。

キリストを受け入れるならば、人間の愛は誠実で、幸福に満ち、解くことのできないものとなり、互いの善を願う忠実な愛の継続は、やがて新しい命を受け入れることをも可能にするでしょうと教皇は述べられた。

「愛は神に向かう内的なものを秘めています。真の愛は無限につながります」と説く教皇は、聖母の教えに従い、御子の言葉に素直に耳を傾けるならば、イエスを信頼する者には、日ごとの生活の水は人生をより良く、美しく、豊かなものとする愛のぶどう酒に変わるでしょうと、婚約者やすべての若者たちに大きな励ましをおくられた。








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