2011-08-26 18:38:21

WYDマドリッド若者たちによる歓迎の集い・教皇挨拶
(2011.8.18)


親愛なる友人の皆さん

世界五大陸を代表する若者たちからの温かい歓迎の言葉に、心から感謝します。ここに集うオセアニア、アフリカ、アメリカ、アジア、そしてヨーロッパの若者たち、また、今日ここに来ることのできなかったすべての若者たちに、心からの挨拶をおくります。私は皆さんのことをいつも心にかけ、皆さんのためにお祈りしています。 神は私に皆さんと間近で会い、直接に話を聞き、一緒に神の御言葉に耳を傾ける恵みを与えてくださいました。

先ほど、私たちは福音の一節に耳を傾けました。イエスの言葉を聞き、受け入れ、実行すべきことが語られています。言葉には、ただ過ぎ去っていく風のように何の意味もないものもたくさんあれば、役立つものもあります。一方で、イエスの言葉は心の奥に到達し、その中に根付き、そして全生活を鍛え上げます。そうでなければ、言葉は空虚で無意味なものになります。そのような言葉は、私たちをイエスに近づけはしません。こうしてイエスは遠い存在のままに留まります。いつも聞き慣れ、何の意味もない多くの言葉の一つのように。

さらに、私たちに語る師イエスは、他人から教わった事柄を教えるのではなく、人間が神に到りつくための道を知っている唯一のお方、彼自身を教示しているのです。なぜなら、私たちにその道を開いたのは彼自身だからです。私たちがいつもいかなる環境の中でも、生きる価値のある、死さえも破壊することのできない、本当の生命に到達できるよう、彼がその道を作ってくれたのです。福音は、いかなる攻撃にも抵抗できるしっかりとした岩の上に建設する人というイメージと、楽な場所という意味にも取れる砂の上に建設する人というイメージを使って、これらのことを説明します。砂の上に建てられた建物は、風の最初の一吹きで崩れ去ってしまいます。

親愛なる若者の皆さん、主の御言葉が、皆さんの中で「霊と生命」、あなたたちの存在を養う根となり(ヨハネ 6,63)、心の貧しい者、義に渇く者、憐れみ深い者、心の清い者、平和を愛する者というような、キリストに似た者となるための行動の基準となるように、主の御言葉に真剣に耳を傾けてください。人生の歩みを分かち合い、私たちを決して裏切ることのない真の友に耳を傾けるように、毎日根気よくキリストの言葉を聞くのです。私たちを導かれるキリストの傍らを歩まなければ、私たちは盲目的で利己的な本能の道や、甘言による誘惑の道のように、その後にただ欺瞞と不満を残す横道に迷い込んでしまいます。

世界青年の日大会のこの日々を、キリストをよりよく知るために活かしてください。また、キリストの中に根を下ろせば、皆さんの熱意、喜び、より先に進み、さらに高く神にまで到達したいという望みに、常に未来があるということを確信してください。なぜなら、満ち満てる生命はすでに皆さんの中に宿っているのです。寛大に熱烈に、聖性の目的が何であるかを真剣に考えながら、神の恵みによってますますそれを大きく育ててください。時には私たちを押しつぶすような自分たちの弱さを前にしても、いつも私たちを助け、赦しの秘跡を通して赦してくださる神の憐れみにも期待しましょう。

堅固な岩の上に建てるなら、皆さんの生命が固まり安定するだけではなく、その土台がしっかりしていなかったために道を踏みはずした多くの人々や、皆さんの同年輩の人々、そして全人類にもキリストの光を投影することができるでしょう。流行を追うことに満足し、真の正義を忘れ、本当の真理を求める代わりに、刹那的な興味や、個人的な意見に逃避して行くような人々にもキリストの光をもたらすことができるでしょう。

自分自身を神であるかのように考え、根も土台も何も必要としないと思う人々がたくさんいます。彼らは自分自身で何が善で何が悪か、また何が正義で何が不正かを自分で勝手に決定したいのです。またさらには誰が生きるに価し、誰が他の人々の目的のために犠牲になるべきかなどすら決めたいのです。そして定まった方向性も持たずに瞬間的な本能の動きに沿って生きていくのです。このような誘惑はいつも私たちを待ち構えています。大切なのはこのような誘惑に陥らないことです。なぜならこれらの誘惑は、いつも何の根拠もない空(から)の存在や、神なしの自由という、何か空虚なことに私たちを引き込むものだからです。

私たちは神の似姿、自由な存在として創造されたことを知っています。まさしく私たちは真理と自由探求の主人公、自分自身の行為の責任者であり、神の創造のみ業を美化し発展させるための協力者であるということをはっきりと知っているのです。

神は自分と対話し自分を愛する責任ある相手を欲しています。キリストを通して私たちは本当にその神の相手となることができるのです。そしてキリストの中に根を張って私たちの自由に翼を与えましょう。これこそ、わたしたちの喜びの大きな源ではないでしょうか。これこそが各人を真に人間とし、愛と生命の文明を築き上げるためのしっかりとした土地なのではないでしょうか。

親愛なる友人の皆さん、賢明であってください。皆さんの生命をキリストという堅固な土台の上に建ててください。この賢明さと知恵が皆さんの歩みを導いてくれるでしょう。何もあなたたちを恐れさせないでしょう。あなたたちの心の中には平和が統治するでしょう。そうすれば皆さんは幸せとなりあなたたちの喜びは他人にも伝わるのです。

皆さんの生命の秘訣はなんですかと皆が尋ねることでしょう。そして皆さんの全存在を支えその上に建物全体が立っている岩が、皆さんの友であり兄弟、全宇宙を支えておられる人となられた神の御子、キリストそのものであることを発見することでしょう。

キリストは私たちのために死に、私たちが生命を持つことができるよう復活されました。そして今御父の玉座から、私たち一人ひとりを愛を持って見守りながら、すべての人々の傍らで生き続けておられます。

この「世界青年の日の集い」の成果を、神のみ旨に素直に従い、誰にもまして、十字架の死にいたるまで従われた神なる御子への忠実を、私たちに教えてくれる聖母マリアに託します。

十字架の道行きをしながら、これらすべてについて黙想しましょう。そして、聖母マリアのように、私たちのキリストへの忠実が、キリストとの無条件の友情であるよう、この日の終わりに当たり、また生涯にわたり祈りましょう。








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