2011-03-28 18:32:46

教皇、フォッセ・アルデアティーネで平和願う祈り


教皇ベネディクト16世は、ローマのフォッセ・アルデアティーネを訪問された。

ローマがナチス・ドイツ占領下にあった1944年3月24日、抵抗運動に参加していたパルチザンや、捕囚、ユダヤ人ら335人が、ドイツ軍によって郊外のフォッセ・アルデアティーネに連行され、虐殺、遺棄された。戦後、同所には追悼モニュメントが設けられ、虐殺された犠牲者の冥福を祈り、イタリア解放の歴史と、平和への思いを新たにする場となっている。

フォッセ・アルデアティーネの虐殺から今月24日で67年が経過した。教皇は27日、「祖国解放のための殉教者遺族イタリア全国協会」の招きを受け、同所を訪問された。

遺族をはじめとした市民、アンドレア・コルデロ・ランツァ・ディ・モンテゼモロ枢機卿ら教会関係者、またユダヤ教代表者らに迎えられた教皇は、犠牲者慰霊碑に赤いばらの花かごを捧げられた。

続いて教皇は慰霊モニュメント内に入られ、犠牲者335人の墓の前に跪き、深い沈黙の祈りを捧げられた。

この後、ローマのユダヤ教共同体指導者リカルド・ディ・セーニ師が詩編130「深き淵より」をヘブライ語で、教皇が詩編23「主は羊飼い、わたしには何も欠けることがない」をイタリア語で朗読した。

この日教皇に同行したモンテゼモロ枢機卿は、父親をフォッセ・アルデアティーネの虐殺で失っている。教皇は同枢機卿の父と、レジスタンス運動に協力し、ユダヤ人らを救ったピエトロ・パパガッロ神父、フォッセ・アルデアティーネとアウシュビッツで非常に多数の犠牲者を出したユダヤ系一家に属する市民の墓前に留まられた。

人々への挨拶で、教皇は、戦争が生んだいまわしい盲目的な暴力への記憶を新たにすると共に、神の子としての尊厳を否定し、兄弟間に深い亀裂を生んだこの虚無を唯一埋めることのできる方として、神の憐れみを祈りたいと述べられた。

教皇は、ナチス占領下にローマのタッソ通りの建物(現在「解放記念館」となっている)で拷問・投獄された人が、壁に記した「神とイタリアを信じる。復活、殉教者と英雄、祖国の再生、人民の自由を信じる」という遺言、また、フォッセ・アルデアティーネで見つかった紙片に書かれた「偉大な父なる神よ、ユダヤ人たちを残酷な迫害から守ってくださるように私たちは祈ります」と言う言葉に、大変深く心を打たれたと話された。

これらの言葉は、過酷な極限の状況においても人間が自由な精神と、最も高い祈りの心を持ち得ることを示していると述べながら、教皇は、すべての人間は良心が教える真理を証ししながら、自らの尊厳を実現するよう招かれていると強調。

愛と命の神を信じ、神の似姿に創られた人間としてその聖なる名を裏切ることがないように生きなければならないと説かれた。

最も恐ろしい悪によって引き起こされたこの痛ましい記憶の地を前に、私たちがなすべきことは、兄弟として手を取り合い、神の愛の力に信頼して、ローマ、イタリア、全世界を平和のうちに歩もうと努力することと、教皇は皆に呼びかけられた。







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