2010-11-04 18:16:00

「キリストという本を心に刻む」マルグリット・ドワンをテーマに、教皇一般謁見


教皇ベネディクト16世は、バチカンで3日、水曜恒例の一般謁見を行われた。

現在、教皇は謁見中のカテケーシス(教会の教えの解説)で、中世のキリスト教文化の考察を継続しながら、特に当時の文化に影響を与えた女性たちを取り上げている。この日、教皇は、13世紀のフランスの修道女・神秘家、マルグリット・ドワンを紹介された。

マルグリット・ドワンはリヨンの貴族の家に生まれた。その誕生の年は確かではないが、一説に1240年頃とも言われている。マルグリットが非常に愛情深く育てられたことは、後に神の限りない愛を、父や母などの家族的なイメージを用いて表現していることからもわかる。

神からの呼びかけに答え、ポルタンの修道院に入会。神に完全に自己奉献するために、すべてを捨て、カルトジオ会の厳しい戒律を受け入れた。1288年、修院長となり、1310年の死までその任にあった。

マルグリットは、人生をキリストと完全に似た者になるための「清めの道のり」と考えていた。そして、キリストはいわば心と生活に深く刻まれた「本」であり、この本を学ぶことは彼女を地上から天へと導くことであった。 

教養ある女性であったマルグリットはラテン語で著述を行ったが、プロヴァンス語を用いることもあった。彼女の著作は、初期プロヴァンス語の記述の貴重例となっている。

マルグリットは豊かな神秘体験を生き、神の深遠な神秘を直感的にわかりやすい言葉で表した。まっすぐな性格と、素直で開いた心を持ち、優しさと愛情にあふれたマルグリットは、同時に優れたバランス感覚と、判断力、人間の心を深く洞察する力に恵まれていた。彼女は、神秘的・霊的生活と、共同体の姉妹への奉仕を共に活かすことができた。

キリストにおいて啓示された神の愛にマルグリットは魅了され、主を深く愛する一方で、人間の神に対する忘恩を卑劣なものと見ていた。特にキリストの受難を深く観想すると共に、聖母の苦しみと愛の生涯をも観想するように勧めていた。

教皇は、キリストという本を見つめ、それを自らの良心を映し出す鏡とし、この鏡から入った光で魂を照らしたマルグリットの生き方に倣い、キリストの言葉と命と光を心に受け入れ、心を清く照らされたものとしていこうと、呼びかけられた。







All the contents on this site are copyrighted ©.