2010-10-28 18:31:03

「ただ一つの人類家族」来年度の世界移民・難民の日に教皇メッセージ


来年1月16日に記念されるカトリック教会の「世界難民・移民の日」に向けた教皇ベネディクト16世のメッセージが発表された。

2011年世界難民・移民の日のテーマは、「ただ一つの人類家族」。

メッセージで教皇は、この記念日が、拡大する移民現象に伴う問題を考え、キリスト教的受け入れの心が育つよう、また真の平和の構築の柱となる正義と愛が世界にもたらされるよう祈る機会であることを思い起こさせた。

多民族化と文化の多様化が進み、様々な宗教の対話が必要とされる今日の社会において、人々はそれぞれの違いを尊重しながら、安定と実りある共存を築く必要があると教皇は強調。

すべての人類が一つの家族であると考えるならば、移民と受け入れ側のどちらもが、教会の社会教説が教えるように、地上の豊かさを同等に利用する権利を持ち、それが連帯と分かち合いの基礎となっていると指摘された。

様々な民族と国々が「人類の一つの町」を作る時、それはある意味で、分け隔てのない「神の町」を先取りするものと教皇は述べると共に、互いに同じ人間であるというだけで違いを乗り越えた深いきずなを生むことのできる人類の兄弟愛を、驚くべき体験とも記されている。

人がよりよい生活環境を求めて自分の国を出、別の国に入るという、人間の「移民する権利」を教会は尊重すると述べながら、教皇は同時に、受け入れ国側が一人ひとりの人間の尊厳を大切にしながらも移民の流入を調整する権利を持ち、移民側もまた相手国の法律や国のアイデンティティーを尊重する義務があると説かれた。

教皇は、特に暴力や迫害から逃れるために移民・難民となった人々に対し、国際社会が具体的な取り組みを示し、これらの人々の権利を守り、社会の安全や結束に留意しながら、安定した調和ある共存を実現できるよう、一層の努力を呼びかけられた。
また、海外で学ぶ学生の増加にも言及された教皇は、これらの留学生が国家間の文化的・経済的架け橋となって世界に「ただ一つの人類家族」を築くために大切な役割を担うであろうことに注目。留学生たちを支え、彼らの持つ具体的な問題に関心を向けるよう願われた。







All the contents on this site are copyrighted ©.