2010-10-26 17:20:46

中東シノドス:「平和、希望、交わり」司教らによる最終提案
 


バチカンで行われていた中東のための特別シノドス(代表司教会議)は、24日に最終日を迎え、教皇ベネディクト16世と参加司教によって閉会ミサが捧げられた。

「中東のカトリック教会:交わりと証し:『信じた人々の群れは心も思いも一つにした』(使徒言行録4,32)」をテーマに開催されたこの会議で、シノドス司教団は、23日、最終提案を採択、提出した。

シノドスのまとめとして教皇に提出される提案書は、非公開が原則であるが、教皇は草稿段階のもの(非公式)の発表を認められた。

提案書の草稿は、序章、1章「中東におけるキリスト教の存在」、2章「教会の交わり」(A.カトリック教会内の交わり、B.司教、聖職者、信者との交わり、C.他のキリスト教教会・共同体との交わり)、3章「キリスト教的証し、復活と愛の証し人」(A.キリスト教的育成、B.典礼、C.諸宗教対話)、終章から構成される。

同書中計44項目の様々な提案から、シノドスの2週間にわたる討議の内容を展望することができる。

「中東におけるキリスト教の存在」の章では、分裂したり極端な立場に傾きがちな世界において、中東におけるカトリック教会は交わりを大切に生き、すべての人々に開いたものであると同時に、その歴史や典礼、教父神学、霊性の豊かな遺産に忠実でありたい、としている。

一方で、中東の教会は、同地のキリスト教徒に向けられる迫害や暴力を告発。時に殉教者を出すまでのこの悲劇的な状況を知らしめ、国際法とすべての人・民族の尊重を推進し、正義と平和を再構築しながら、緊張状態に終止符を打つための努力を国際社会に呼びかけている。

そして、教会もまた中東の正義と平和のために祈り働き、記憶の浄化のために尽くすと共に、恐怖と暴力に代わって、平和と希望を広めたいと述べている。

提案書は、中東のキリスト教徒の流出問題にも触れ、信者らの祖国への定着を図り、流出に歯止めをかける必要を強調。海外に移住した中東教会の信者らに対する特別な司牧の強化を訴えている。

また逆に、他地域から中東への労働移民に対して、教会に受け入れと支援の姿勢が欠けることがないようにと記している。

「教会の交わり」に関する提案では、様々な地域・典礼からなる中東の教会にとって、その多様性が一致の障害になるのではなく、むしろ一致を表現するものとなるようにと期待している。

ここでは、中東のキリスト教の神学や霊性に大きな影響を与えているアラブ語の尊重や、女性の権利を守り、子どもたちに健康と教育を保証する努力、エキュメニカル活動の刷新などをテーマとして挙げている。

さらに「キリスト教的証し」の章では、成人信者の恒久的育成、司牧者の養成、カトリック系教育機関の使命、信仰の育成と福音宣教における新しいコミュニケーション・メディアの導入、家庭や若者への司牧、ユダヤ教とイスラム教をはじめとする諸宗教との対話の推進等を目標として示している。

提案書は最後に、まさに中東の地に生まれ育ったナザレのおとめマリアに、中東全域をその保護に託して祈っている。







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