2010-01-02 15:58:07

「世界平和の日」環境テーマに:教皇「人間の退廃は、自然の破壊招く」


2010年を迎え、教皇ベネディクト16世は1日、神の母聖マリアの大祝日のミサをバチカンの聖ペトロ大聖堂で捧げられた。

カトリック教会の典礼暦は、1年の最初の日を神の母聖マリアに捧げると共に、「世界平和の日」を記念する。

「世界平和の日」は、1968年、ベトナム戦争が激化する中、時の教皇パウロ6世が、平和のために特別に祈る日として制定したもの。教皇は、毎年この日のためにメッセージを発表し、戦争や分裂、憎しみや飢餓などのない平和な世界を願い、信徒と共に祈りを捧げる。

第43回となる今年の「世界平和の日」のテーマは「平和を築くことを望むなら、被造物を守りなさい」。

教皇は説教で、ミサ中の福音朗読から「主が御顔をあなたに向けて、あなたに平安を賜るように」(民数記6,26)という言葉を取り上げ、「神の御顔とは、人間の顔とは」を問いながら、世界の平和を構築する上での諸問題を考えられた。

神の御顔は御子イエスにおいて人間の顔をとられたと教皇は述べ、それゆえに私たちはイエスの母おとめマリアを「神の母」と呼び崇敬すると話された。

教皇はビザンチンのイコンに見られる聖母子の姿に、御一人子を与えるまでの言葉に言い表しがたい神の愛のしるしを見ると同時に、マリアにおいて私たちや世界全体にキリストの光を映し出す教会の顔を見出された。

国籍や宗教に関係なく他人の顔の中に人間としての尊重を認める眼差しから平和への一歩が始まるように、神の御顔の神秘と人間の顔との関係を考えることが平和への近道となると教皇は指摘。

そして他人の顔に一人の兄弟としての人間を見出すには、神を心に持つことが必要であり、神が自分の中に住んでこそ、自分の周りの存在、人や環境に関心を払うことができると強調された。

小さい時から他人への尊重を教育することは大切であり、現在では学校の同じクラスに様々な国籍の子どもたちが一緒に学ぶことも珍しくなくなったと教皇は述べつつ、互いの違いにも関わらず共に泣き笑い遊ぶ子どもたちの顔に、神の世界に対するビジョンを見る思いがすると話された。

そして、この子どもたちの笑顔が戦争や暴力、飢餓や病気によって消されることがないよう、平和を目指し、あらゆる武器を置き、人間として尊厳ある世界を築くことを急務として示された。

今年の平和の日のテーマである環境保護に注目された教皇は、「宇宙の中に創造主の御顔の反映を見る者は、自然をより愛することができるだろう」と述べ、人間の退廃は生活する環境の荒廃につながり、虚無主義に傾向する文化は自然にダメージを与えることになるだろうと警告された。

教皇は、人間に対する尊重、人間の権利と義務に基づいた自然への責任を広く深く教育する必要をアピールされ、環境への取り組みが平和教育・平和構築へとつながるよう願われた。







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