2009-11-19 16:22:57

中世の教会建築をテーマに、教皇一般謁見


教皇ベネディクト16世は、バチカンで19日、水曜恒例の一般謁見を行われた。

謁見中のカテケーシス(教会の教えの解説)で、教皇は中世のキリスト教思想の考察を続けながら、この日は特に中世の教会建築を取り上げられた。

中世の人々の生活に深く根ざしたキリスト教信仰が生み出したものの中には、数々の優れた神学的著作のほかに、文明の至高の芸術表現、中世キリスト教の栄光としての「大聖堂」があったことを教皇は紹介。

当時の宗教建築の再興を可能とした要因として、教皇は政治の安定、人口増加、都市や交易の発展、建築技術の向上などを挙げつつも、最も重要な要因はこの時代広がりつつあった修道生活・文化への熱意であったとされ、多くの大修道院と教会が建てられる中、典礼はより荘厳さを増し、信者にも祈りや巡礼への熱が高まっていったその過程を説明された。

こうして生まれたロマネスク様式の教会は、多くの信者を収容できるよう長さを増し、頑丈で簡素なラインを特徴としたほか、彫刻を導入し、信者たちの宗教的教育に配慮した。教皇は善悪や徳を表す擬人像や、最後の審判のキリストなど、ロマネスク建築の彫刻群が信者の心に残したであろう大きな印象に思いをめぐらされた。

これに続く新しい建築様式、12、13世紀のフランス北部から始まったゴシック建築について教皇は、上へ、上へと高く伸びていく傾向、差し込む光の効果などを特徴として示された。天に高く伸びるその姿は人々を祈りに招き、神へと心を上げさせ、聖書や聖人伝のエピソードが描かれた大きく明るい窓は、それを見上げる信者たちをその救いの歴史に引き入れたと話された。

また、教会建築にはキリスト教共同体全体が参加したこと、ゴシック彫刻は大聖堂全体を「石でできた聖書」にまで高めたことなどにも言及された。

教皇はこれらの教会建築の考察から、過去のヨーロッパの芸術はその根底にある宗教心を抜きにしては理解できないこと、また「美の道」は神の神秘に近づく効果的で魅力的な道の一つであることを指摘された。







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