2009-10-21 14:19:21

聖公会からカトリック教会に入ることを望む人々のための使徒憲章を教皇が承認


教皇ベネディクト16世は、聖公会(アングリカン・チャーチ)からカトリック教会に入ることを望む聖職者・信者らに応えるための使徒憲章を承認された。

教皇庁教理省(長官:ウィリアム・ジョセフ・レヴァダ枢機卿)は、バチカンで10月20日行なった記者発表で、後日発表されるこの憲章の概要を明らかにした。

これによれば、同憲章の起草にあたり、カトリック教会は、カトリック教会に入ることを希望している世界各地の聖公会の聖職者・信者のグループからの多くの要望に応えることを目指した。

この使徒憲章において、教皇は教会法上の組織の一つ、属人的司教区(オルディナリアーティ・ペルソナーリ)の形を導入された。この特別な司教区の設立によって、これまで聖公会に属していた信者がカトリック教会との完全な交わりに入ることを可能にすると同時に、これらの信者がアングリカンの精神遺産と典礼の要素を保つことができるようになる。

一般的に言われる司教区(ディオチェジ)が地域を管轄し、その地域の教会と信者の司牧を受け持つのに対し、オルディナリアートは軍隊生活などの特殊な状況や典礼上の理由からそのための司牧を必要とする一定のグループの信者の司牧に当たる。

これまでに存在するオルディナリアートの例としては、各国の従軍司教区や、世界各地の東方典礼の信者のための司教区などがある。

また、「属人的」とは、信者は「地域」に属するのではなく、オルディナリアートの責任者であるオルディナリオ(担当司教)に属することを意味する。

同憲章によれば、これらの元聖公会信者の司牧的指導は属人的司教区によって保証され、その責任者は通常、元聖公会の聖職者から選ばれる。

近い将来発表されるこの憲章は、世界的な現象に対する理性的かつ必要な回答を示すと共に、地域ごとの異なる状況にも対応でき、元聖公会の信者らに普遍的で平等な適応が可能な唯一のモデルを提供するもの、と教理省は説明している。

このモデルは、結婚している元聖公会の聖職者をカトリック司祭として叙階する可能性をも予見している。歴史的なまたエキュメニカルな理由から、カトリック教会は、正教会と同様に、結婚している男性を司教に叙階することはできない。それ故、同憲章は司教区の責任者を結婚していない司祭か司教と定めている。

この司教区に属する神学生は、カトリックの他の神学生と共に司祭になるための準備をするが、同司教区はアングリカンの伝統における特別な必要に応じて育成センターを開くことができる。こうすることにより、同使徒憲章は、アングリカンの貴重な遺産を守ると同時に、これらの神学生と聖職者らがカトリック教会に一致するよう配慮することができる。

これらの司教区は、必要に応じて地域の司教協議会の意見を仰ぎ、この組織が世界各国の軍隊の隊員の司牧に当たる従軍司教区と何らかの形で似たものとなることが考えられる。

教理省は、この試みの導入はカトリック教会が優先課題とし、特に教皇庁キリスト教一致推進評議会が取り組むエキュメニカル対話の努力に従うものであるとしている。

バチカンでの記者発表と平行し、同日ロンドンで、カトリックのヴィンセント・ニコルズ・ウエストミンスター大司教と聖公会のローワン・ウイリアムズ・カンタベリー大主教により、共同声明が発表された。

この声明では、同憲章は、カトリック教会とアングリカンの伝統の間にある信仰、教理、精神性における本質的な一致のさらなる認識を示すものと述べ、これまでの長いエキュメニカル対話の道のりがなければ、こうした認識も、完全な目に見える形での一致への希望を培うことも不可能であっただろうとしている。

そして、共同声明は、この密接な協力が、両教会をこれからも一致と宣教、英国とキリスト教教会全体の福音の証しにおいて共に成長させることを願っている。







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