2009-04-23 15:06:40

「どん欲はすべての悪徳の根源」中世の神学者オーペルトの考察で、教皇一般謁見


教皇ベネディクト16世は、バチカンで22日、水曜恒例の一般謁見を行なわれた。

謁見中のカテケーシス(教会の教えの解説)で、中世教会の著作者の考察として、8世紀の神学者・修道院長のアンブローズ・オーペルトを取り上げられた。

オーペルトの生涯はあまり知られておらず、その著作はかつてミラノの聖アンブロジオや聖イルデフォンソ、モンテカッシーノ修道院の同名の院長などのものと考えられていたと教皇は話され、現代にも貴重なその神学・霊性の遺産を紹介された。

オーペルトは、フランス・プロヴァンス出身。フランク王国のピピンの宮廷の官吏を務め、ピピンの息子(後のカール大帝)の個人教師をしたとも伝えられる。おそらく、フランスを訪れた教皇ステファヌスの随行としてイタリアに向かい、ヴォルトゥルノのベネディクト会修道院に入会。神学・霊性学を深め、761年頃、司祭叙階。

彼の生きた時代は、政治的緊張が著しく、その影響は修道院生活の内部まで及んでいた。
777年、修道院内のフランク派の擁立を受けて院長に選出されたが、院内のランゴバルド派との対立が深まるのを見て、翌年院長を辞任、スポレートの修道院へ移った。それでも先の修道院内の不和は収まらず、調停のための証人としてローマに召喚されたたが、784年旅の途中で急死、殺害されたとも考えられている。

オーペルトは、権力争いや国家間の対立の激しい世界を出て、修道生活という第二の道を選んだが、平和のオアシスであるべき修道院内でもまた、同様の争いに遭遇することになったと、教皇は指摘。彼は著作の中で修道院の外見と内側の世界の矛盾を厳しく訴えていると述べた。

キリスト者であるためには名ばかりでなく実が伴わなければならないと、オーペルトは修道者たちに毎日の霊的闘いを呼びかけた。

オーペルトは霊的闘いの中でこの世を軽蔑するように説いたが、それは被造物を蔑視することではなく、どん欲に動かされたこの世の幻想に惑わされないようにするためであったと教皇は強調。実際、オーペルトは人間のどん欲さをすべての悪徳の根源と見据えていたが、それは今日の世界的経済危機の現実にも浮き彫りにされることと話された。

教皇は、オーペルトの代表作として「黙示録注解」を紹介すると共に、西方教会における最初のマリア神学者としての彼の側面にも光を当てられた。







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