2008-01-17 18:55:26

「真理の追求を続けよう」
教皇のアピール,ローマ大学で代読


教皇ベネディクト16世がローマ大学ラ・サピエンツァ校で行なう予定になっていた講演の原稿が、17日、同大の開講式で代読された。

教皇の同大学への訪問は、学内にここ数日もたらされた混乱を理由に延期されたが、教皇は講演のメッセージを伝えることを望まれていた。

ボニファティウス8世教皇によって1303年に創立されたラ・サピエンツァは、この2007―2008年度開講式で、第705回目の新学年を祝った。現在同大は、21学部、登録学生13万人以上を擁し、イタリアの最も大きく重要な国立大学の一つとして知られる。

今年の開講式では、死刑制度廃止をテーマに教授らの講演が行なわれた。

これらの講演や挨拶の中では、教皇が今回出席を見送ったことを重く受け止める発言が続いた。

同大のレナート・グアリーニ総長は、「我々の大学では議論のレベルは高く保たれなければならない。どのような性格のイデオロギー的拒絶も許されず、すべての人が発言できる場所と尊重があるべき」と述べ、ワルター・ヴェルトローニ、ローマ市長も「不寛容によって誰かの言葉が封じられることがないよう規律の原則を通して訴える義務」を大学に呼びかけた。また、学生代表も、教皇との出会いがこの日得られなかったことを非常に残念に思う大多数の学生たちの気持ちを伝えた。

教皇の原稿は式典が行なわれた大講堂で、同大の教授によって代読された。

この中で、ベネディクト16世は「教皇は世俗である大学、すなわち政治的・宗教的影響から独立した立場にある大学において何をすべきか、何を言うべきか」と自問されつつ、教皇のなすべきことは、自由のうちにのみ与えられる信仰を権威的な方法で人に押し付けることではなく、「真理への関心を目覚めさせ続けること」であると述べている。

教皇は、「そもそも大学とは何か。その役割は何か」とも問う中で、大学の起源は自分を取り巻くすべてのことを知ろうと欲する、人間の知識への渇望にあると指摘。古代ギリシャのソクラテスから、初代教会時代の聖アウグスティヌス、中世の聖トマス・アクィナスらに触れながら、「真理」を目指し続ける人間の歩みを示された。

教皇は、アウグスティヌスが単なる知識は悲しいと述べているように、世の中に起きる事柄だけを見て学んでいても最後には悲しみにぶつかるだろうとし、「真理は知識以上の意味がある。真理を知ることは、善を知るという目的を持っている」と説き、現代においても真理を休みなく追求して欲しいと、大学関係者に勇気付けをおくられている。

教皇のメッセージに、大講堂は立ち上がった人々の長い拍手に沸き返った。

この後、大学内の礼拝堂で新学年を記念するミサがとり行われた。







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