2007-11-22 17:06:58

シリアのアフラートを考察、教皇一般謁見


教皇ベネディクト16世は、バチカンの聖ペトロ広場で21日、水曜恒例の一般謁見を行なわれた。

謁見中のカテケーシス(教会の教えの解説)で初代教会の教父の考察を続けられる教皇は、この日、聖地からレバノン、メソポタミア地方にかけて4世紀頃発達したキリスト教共同体に目を向けられ、中でもシリアの修道者アフラートの教えを紹介された。

教皇は、これらの地域の教会の形成期に見られた、エジプトの修道生活の影響を受けない、独自の修徳・修道的現象の存在を指摘。

アフラートの活躍した4世紀のシリアのキリスト教共同体は、聖書発祥の地であるセム語圏の世界に属し、当時まだ他の文化圏の神学体系との接触を持たずに独自の思想の中にあり、その神学的・霊的思想の発達には砂漠などにおける隠修生活や共同体的修道生活が大きな役割を果たしていたことを説明された。

「賢者」とも呼ばれたアフラートの生涯についてはほとんど伝えられていないが、4世紀前半、現在のイラクのニネベ=モスル地方に生まれ、修道院の頭であったとも、司教であったとも言われること、「解説」または「証明」という名で呼ばれる23の論文を通し、信仰・愛・断食・謙遜・祈り・修徳生活など、キリスト教生活における多岐のテーマを歯切れの良い簡潔な文体で記していることなどを教皇は紹介された。

また教皇は、ユダヤ教とキリスト教の接点にあり、エルサレムの母教会と強い絆を持つ共同体に生まれたアフラートが、ユダヤ教世界とその聖典との緊密な関係を保ち、自らを旧約と新約の聖書の弟子と呼んでいたことにも注目された。

そして、著作の中でアフラートはキリストによる救いの業を「癒し」として捉え、キリスト自身を医者、罪は回心だけが癒すことのできる傷として表現していること、さらにキリストを祈りの師として、その祈りの模範に従うよう招いていることなどを教皇は解説された。

さらに、アフラートはキリスト教徒の生活とは自分のくびきを背負い福音の道を歩むこと、またキリストの弟子に最もふさわしい徳は謙遜であると強調しているほか、節制した生き方を食べ物だけでなく、無駄口、憤り、財産などについても勧めていることを示された教皇は、祈りと愛徳の業の両立を説くアフラートの言葉をもって、この日のカテケーシスを終えられた。


謁見の後半、教皇は、暫定連邦政府軍と反対勢力との武力闘争が続き、社会不安と貧困に苦しむソマリアで、首都モガディシュを中心に人道的危機状態が報告されていることに憂慮を表され、同国はもとより国際共同体に平和的解決を模索するようアピールを行なわれた。教皇はまた、不安定な治安と困難にも関わらず現地に留まり、市民に支援を続ける人々の努力に励ましを与えられた。







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