2007-11-07 18:30:02

アンジェラスの祈り教皇説教(2007.11.4)


親愛なる兄弟姉妹の皆さん

今日の典礼は、エリコにおけるザアカイとイエスの出会いの有名なエピソードを語り、私たちに黙想の材料を提供してくれます。

このザアカイとは一体どんな人物だったのでしょうか。ザアカイは金持ちで、「徴税人」すなわち当時パレスティーナの支配者だったローマ帝国のために税金を徴収する仕事をしていました。まさしくこの敵国に奉仕するという職業のために、ユダヤ社会からは公の罪人と見なされていたのです。

ザアカイはイエスがエリコにおいでになったと聞きおよび、ぜひともイエスを見たいという大きな望みを持ちました。けれども背が小さかったために群集にさえぎられて見ることができなかった彼は、木に登りそこからイエスを見ようと思いました。

イエスはその木の下で立ち止まり、ザアカイのほうに向き、彼を名指しで呼びます。「ザアカイ、すぐに降りてきなさい。私は今日あなたの家に泊まらなければならないから」(ルカ19,5)。

この簡単な言葉の中になんと素晴らしいメッセージが含まれていることでしょう。イエスは皆から侮辱されていたこの男を「ザアカイよ」とその個人名で呼ばれます。そして「今日」と言われます。そうです。今こそが彼にとって救いの時なのです。主は「あなたの家に泊まらなければならない」と言われます。なぜ「泊まらなければならない」と言われたのでしょうか。それは憐れみに深い天の御父は、イエスが失われた者たちを捜しに行くことを望んだからです。

イエスとの出会いの恵みは、ザアカイの生涯を完全に変えてしまうほど強烈なものでした。ザアカイはイエスに告白しました「主よ、私は財産の半分を貧しい人々に施します。私がもし誰かからだまし取っていたら、それを四倍にして払い戻します」。ここでも福音は、天の御父から出て、人の心を通して働く愛は、世界を変え新たにする力であると言っているのです。

この真理は、今日教会が記念するミラノの大司教、聖カルロ・ボロメオの生涯の証しの中に輝いています。聖カルロは16世紀にあって、牧者の模範・愛徳・教説・使徒的熱意、そして特に祈りの手本として秀でています。

彼はいつも言っていました。「霊魂はひざまずいて、すなわち祈りによって、獲得されるのです」と。聖カルロは25歳の若さで司教に叙階され、司牧者たちにはそれぞれ自分の教区内に住むよう指定するトレント公会議の規定を実行に移すよう努力しました。聖アンブロジオの伝統を引き継ぐミラノの教会を、全身全霊を込めて導き、教区の隅々まで司牧訪問し、多くの教会会議を開催し、教会の刷新に努めました。

若い司祭たちの適正な教育のために多くの神学校を開き、病院を建設し、自分の家族伝来の財産を貧しい人々に施し、権力者たちに対して教会の権利を擁護しました。そして修道生活を刷新し、新しい修道会も創立しました。1576年ペストの流行がミラノを襲った時、病人たちをしばしば見舞い、自分の財産をすべて彼らのために使用しました。

聖カルロ・ボロメオのモットーは「謙遜」でした。この謙遜が彼をして主イエスのようにすべての人々の僕となるよう推し進めたのです。


すべての司教たちを教会の母である聖母マリアのご保護にゆだねましょう。

 







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