教皇フランシスコは、チェコ・スロバキア正教会の首座主教、ラスティスラウ府主教と会見された。
プレショフ大主教ラスティスラウは、2014年、「チェコ人の地およびスロバキアの府主教」に選出され、チェコ・スロバキア正教会の長となった。
ラスティスラウ府主教をはじめとするチェコ・スロバキア正教会の関係者は、5月9日よりローマを訪問。市内の聖クレメンテ教会において、「スラヴの使徒」聖チリロの墓前でミサを捧げたほか、ローマの4大バシリカを訪れるなどした。
5月11日、ラスティスラウ府主教は、バチカン宮殿で、教皇フランシスコの歓迎を受けた。
同府主教のバチカン訪問は、今回が初めて。前任者のクリシュトフ府主教は、2009年、バチカンを訪れ、ベネディクト16世と会見している。
府主教への挨拶で教皇は、昨年、教皇庁キリスト教一致推進評議会議長・クルト・コッホ枢機卿がチェコ・スロバキア正教会のプレショフ教区を訪問したことに言及。これに続いて今回行われた府主教のバチカン訪問を喜ばれ、兄弟的対話に感謝を表された。
教皇は、スラヴ圏に福音をもたらした聖チリロ・聖メトジオ兄弟の功績を回顧。
トラヤヌス帝の迫害でクリミア半島に追放され同地で殉教した聖クレメンス1世の聖遺物を、テッサロニキ出身の同兄弟が、ローマの教皇アドリアヌス2世のもとまで運んだことに触れつつ、聖チリロ・聖メトジオのこの行為は、わたしたちキリスト者が聖性という広大な遺産を共に受け継ぎ、分かち合う必要を教えてくれるものと話された。
また、教皇は、聖チリロ・聖メトジオがモラヴィアの人々への宣教・司牧のために聖書を古代スラヴ語に訳した大胆さに注目。
ヨハネ・パウロ2世がこの聖人兄弟をヨーロッパの保護聖人の一人として宣言したように、わたしたち皆にとって、彼らは今日も福音宣教のモデルであり続けると語られた。
さらに、聖チリロ・聖メトジオ兄弟が、文化・伝統の異なるキリスト教共同体間の分裂を克服したことについて、まさに彼らは「エキュメニズムの真の先駆者」(ヨハネ・パウロ2世回勅『スラヴ人の使徒』)であったと言える、と話された。
一致とは同一性ではなく、聖霊において多様性を和解させること、と述べた教皇は、聖チリロ・聖メトジオがその証しをもって、完全な一致に向けたわたしたちの長い歩みを見守ってくれるようにと祈られた。
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