教皇フランシスコは、6月10日、イタリアのマッタレラ大統領を公式訪問された。
この朝、ローマ市内の大統領官邸・クイリナーレ宮殿を訪れた教皇は、到着した宮殿の中庭でセルジョ・マッタレッラ大統領に迎えられた。
教皇とマッタレッラ大統領の会見は、同大統領が就任間もない2015年4月にバチカンを訪問して以来のこと。
一方、現教皇がイタリア大統領官邸に赴いたのは、2013年11月にナポリターノ前大統領を訪問したのに続き、今回が2度目となる。
マッタレッラ大統領と教皇は、およそ半時間にわたり個人会談を行なった。
この後、教皇は、宮殿内の広間でイタリア政府要人・各界代表に挨拶をおくられた。
この中で教皇は「イタリアを希望と共に見つめている」と述べ、ご自分の祖父母や両親をはじめ、世代から世代へと受け継がれてきた記憶、人権や、家族、仕事などの基本的価値の上に成り立ち、共和国憲法を中心に国民に安定した民主主義を保証してきた同国に希望と信頼を示された。
他方で教皇は、他のヨーロッパ諸国と同様にイタリアが、国際的なテロリズムや、移民現象、社会・経済の不均衡、若者の就職難、少子化など、世界的諸問題と危機への対応を迫られている現状にも言及。
イタリアが、同国民の寛大さと豊かな精神性を通して、この挑戦を新しいチャンスに変えるべく大きな努力をしていることに喜びを表された。
教皇は、中でも同国が沿岸に上陸する多くの移民たちを受け入れていることや、国際平和の構築に貢献し、安全維持のための各国との協力を保っていることを評価された。
今日のイタリアの大きな課題の一つとして、教皇は就労問題を挙げ、人々に尊厳ある仕事の機会を作るプロセスを作り、見守っていく必要を強調。
若者たちの就職チャンスの少なさ、不安定で不十分な就労条件が、彼らが家庭や子どもを持つことを困難にしていると話された。
こうした中で教皇は、利益追求だけを考えず、大きな社会的価値を見据えた経済活動の必要を説かれた。
教皇は、イタリアの国民と国の善を推進するための、国家と教会間の協力関係を喜ばれると共に、先に開催された「いつくしみの特別聖年」が、イタリア当局の協力を得て、無事終了したことに深い感謝を表された。
イタリアはその物的・精神的豊かさを活かし、社会の協力を得ることで、今日の問題に取り組んでいけると確信を示された教皇は、カトリック教会と長いキリスト教の伝統と精神が、同国の社会の成長と調和の支えとなることを願われた。
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