2016-12-25 17:55:00

主の降誕:教皇、ローマと全世界に向けてメッセージと祝福


2016年度の主の降誕の大祝日を迎え、教皇フランシスコは、バチカンよりローマと全世界に向け、クリスマスのメッセージと祝福、「ウルビ・エト・オルビ」をおくられた。

24日、主の降誕の深夜ミサを捧げられた教皇は、降誕祭の当日となった25日正午、聖ペトロ大聖堂の中央バルコニーに立たれ、クリスマスのメッセージを読み上げられた。

淡い青空が広がったこの日、聖ペトロ広場には多くの市民と巡礼者がつめかけ、教皇の祝福を受けた。

教皇の2016年のクリスマス・メッセージは以下のとおり。

********

親愛なる兄弟姉妹の皆さん、クリスマスおめでとうございます!

今日、教会は、生まれ、飼い葉桶に寝かされた幼子を観想しながら、おとめマリアと、聖ヨセフ、そしてベツレヘムの羊飼いたちの驚きを再び体験します。その幼子こそ、イエス、世の救い主です。

光に満ちたこの日、預言者イザヤの言葉が再び響き渡ります。

「ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた。
 ひとりの男の子がわたしたちに与えられた。
 権威が彼の肩にある。
 その名は、
 『驚くべき指導者、力ある神、
 永遠の父、平和の君』と唱えられる」(イザヤ9,5)

神の御子であり、マリアの子である、この幼子の力は、強さや豊かさに基づく世の力とは違います。それは愛の力です。それは天地を創造し、鉱物や、植物、動物を作り、すべての生き物に命をもたらす力です。男女をひきつけ、結びつけ、一つの存在とする力です。命をよみがえさせる力、罪を赦す力、敵同士を和解させ、悪を善に変える力です。

それは神の力です。この愛の力が、イエス・キリストを、ご自身の栄光を脱ぎ捨て、人となり、十字架の上で命を捧げ、死から復活するまで導いたのです。それは正義と平和の王国、神の御国を世にうちたてる、奉仕の力です。

それゆえに、イエスの降誕は、天使たちの合唱に伴われていました。
「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心にかなう人にあれ」(ルカ2,14)。

今日、この知らせは、すべての地を走り、すべての民、特に戦争や激しい紛争に傷つき、平和をより強く望む人たちに届こうとしています。

あまりに多くの血が流され、深い苦しみの中にある、シリアの人々に平和を。中でもアレッポは、この数週間、最も激烈な戦闘の舞台となりました。疲弊しきった市民たちに、人道的権利の尊重のもと、緊急な支援と慰めが保証されますように。今は、武器を完全に収め、和平に向けての解決と、国内の市民間の共存を再び取り戻すために、国際社会が働くべき時です。

神から選ばれ愛された地、愛する聖地の人々に平和を。イスラエルとパレスチナの人々が勇気と決断をもって、歴史に新しいページを記し、そこで憎しみと復讐が、相互理解と調和ある未来を共に築くための意志へと変りますように。

戦争とテロ行為に苦しむ、イラクと、リビア、イエメンに一致と調和が戻りますように。

アフリカの様々な地方の人に平和を。特にナイジェリアでは原理主義者によるテロリズムが子どもたちをも搾取し、恐怖と死は終わることがありません。南スーダンと、コンゴ民主共和国に平和を。分裂から立ち直り、すべての善意の人々が発展と分かち合いのために歩み、対立の論理に、対話の文化を優先させることができますように。

ウクライナ東部で未だに紛争の影響を受けている人々に平和を。そこでは市民に安心をもたらし、合意事項を実行する共通の意志が一刻も早く必要とされています。

愛するコロンビアの国民のために一致を願い求めましょう。同国は対話と和解のための新しい、勇気ある歩みを成し遂げようとしています。愛するベネズエラもこの同じ勇気に励まされ、現在の緊張を収拾すると共に、すべての市民のために、未来の希望を共に築くのに必要な行程に着手することができますように。

異なる地域で、絶えざる危険と根強い不正に苦しむ人々に平和を。ミャンマーで平和的共存のための努力が強められ、国際社会の協力によって、深刻なレベルで緊急の助けを必要とする人々に人道的な保護と支援が与えられますように。朝鮮半島が、新たな協力の精神を妨げる緊張を乗り越えることができますように。

テロ行為のために親しい人を失った人々に平和を。テロリズムは多くの国や都市の真ん中で恐怖の種を蒔いています。見捨てられ、疎外された兄弟姉妹たち、飢餓に苦しむ人たち、暴力の犠牲となっている人々に、言葉ではなく、有効で具体的な平和を。難民、移民、今日の人身売買の犠牲となっている人々に平和を。少数の人々の経済的な野心のために、またお金を神と崇める人々の強欲のために苦しむ人々に平和を。社会的困難・経済的困窮にある人、地震や他の自然災害の被災者に平和を。

子どもたちに平和を。幼子となられた神を観想するこの日、特に、飢餓や戦争、大人たちのエゴイズムによって喜びを奪われた子どもたちに平和を願います。

「地には平和、御心にかなう人にあれ」。より人間的で正義ある世界の構築のために、平和だけがすべての人に繁栄ある未来をもたらすことができるとの確信に支えられながら、毎日、目立たず、我慢強く、家庭や職場で働く人々に平和がありますように。

親愛なる兄弟姉妹の皆さん、
「ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれました。
 ひとりの男の子がわたしたちに与えられました」。
「平和の君」である、この幼子をお迎えしましょう!








All the contents on this site are copyrighted ©.