2016-04-29 18:20:00

「人命に対し利益主義が勝ることがないように」教皇、医療関係者に


教皇フランシスコは、4月29日、再生医療をめぐる国際会議の参加者とお会いになった。

この集いには、米国のジョー・バイデン副大統領も参加、教皇は副大統領と挨拶を交換された。

教皇庁文化評議会(議長:ジャンフランコ・ラヴァージ枢機卿)が主催したこの会議では、「細胞の展望:科学・技術・情報・コミュニケーションが社会に与える影響」をテーマに、特に現代社会において難病の治療がどのように扱われているかについて意見が交換された。

参加者らへの挨拶で教皇は、難病患者たちに対し社会がしばしば十分な関心を向けないことの理由として、難病治療に向けた投資から豊かな経済的見返りを期待できないという観点があることを指摘。

これまでの難病を持つたくさんの人々との出会いを教皇は振り返りながら、世界に多く存在する難病患者とその家族たちの苦しみや不安に思いを寄せられた。

教皇はバチカンの文化評議会およびその関連組織が取り組んでいる課題として、難病問題への「関心の呼びかけ」「教育と研究」「治療へのアクセスを保証する」の3点を示された。

難病問題への関心を社会において高めることは基本的重要課題と教皇は述べ、病者をはじめ隣人に手を差し伸べることに誰も無関心でいてはならないと強調された。

また、教皇は学問の世界および産業界において人間の尊厳と命を守るという自覚が常に必要と説き、連帯、寛大、無償性、分かち合いなどの高い精神価値を教育を通して培い、研究の中にもその精神を育むことを目指さなくてはならないと話された。

さらに、治療へのアクセスについて、人間の命に対し利益主義が勝ることが決してあってはならないと教皇は警告。研究者の育成や研究費の増加、法整備の推進、人間を優先した経済モデルへの変革などの必要を指摘しつつ、「無関心のグローバル化」から脱し、「共感のグローバル化」を構築できるよう願われた。

 

 








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