2015-06-06 14:32:00

「戦争を繰り返してはならない」サラエボのオリンピック競技場で教皇ミサ


6月6日、ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボを司牧訪問された教皇フランシスコは、信者と共にミサを捧げられた。

ミサ会場となった市内の競技場は、1984年のサラエボ冬季オリンピックの開会式に使用されたもの。しかし、90年代に入り勃発した紛争で多くの関連施設が破壊され、同競技場のすぐ近くは先の紛争の犠牲者たちの墓地となっている。

この日、教皇ミサのために競技場は6万人以上の参加者で隅々まで埋まった。一角に設けられた特別席には紛争時の負傷に今も苦しむ人々が招かれた。

ミサの説教で教皇は、今も世界各地で続く様々な紛争に触れつつ、「戦争の空気を感じるこの時代」にあって、平和のために働く人になって欲しいと信者らに呼びかけられた。

平和は神の夢、神が人類とすべての被造物のために用意された計画であるが、その計画は常に人間と悪の側からの反対に会ってきたと教皇は述べ、今日においても平和への願いとそれを築く努力が世界に広がる多くの武力闘争によって妨げられている現状を示された。

教皇はこのような状況を意識的に作り出そうとする人々の存在、特に文化・民族間の衝突を煽り、戦争を武器売買に利用する人々を非難。

戦争が意味するものは、難民キャンプの子ども・女性・お年よりたち、住み慣れた家を追われる人々、家や町や工場の破壊、多くの断ち切られた命であり、ボスニア・ヘルツェゴビナの国民はその大きな苦しみをここで体験したと教皇は述べ、「戦争を決して繰り返してはなりません」と人々と共に平和を希求する声を上げられた。

「平和を実現する人々は幸いである」(マタイ5,9)というイエスの呼びかけは今もすべての世代に生きていると話された教皇は、「平和を説く人」であることは簡単だが、「平和を実現する人」「平和を作る人」になることが大切と指摘。

平和は情熱、忍耐、経験、粘り強さをもって、日常生活の中の奉仕や、兄弟愛、対話、いつくしみを通して築いていくものと強調された。

平和は神の賜物であるが、それは魔法のように与えられるものではなく、神が聖霊によってわたしたちの心と体を真の平和の道具として作り出していくもの教皇は述べ、わたしたちが単純な心と忍耐を持ち、正義と平和のために働く恵みを主が与えてくださるようにと、聖母の取次ぎを祈られた。

 








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