2014-04-10 18:27:32

教皇一般謁見・カテケーシス・聖霊の賜物①「上智」(2014.4.9)


親愛なる兄弟姉妹の皆さん

今日から「聖霊の賜物」をテーマとするカテケーシスを始めましょう。ご存知のように、聖霊は、魂や、教会の生命線、キリスト者一人ひとりを築き上げます。それはわたしたちの心に住まわれ、わたしたちとの交わりに入られる神の愛です。聖霊はいつもわたしたちと共にあり、わたしたちの中に、心の中におられます。

聖霊自身が特別な「神の賜物」(ヨハネ4,10)、神の贈り物であり、それを受け入れる人に様々な霊的な賜物をもたらします。教会はその賜物を7つ見出します。7は満ちていること、完全さを象徴する数字です。それらは堅信を準備する時に学び、古くからの祈り「聖霊の続唱」の中で祈り求めるものです。聖霊の賜物、それらは上智、聡明、賢慮、勇気、知識、孝愛、主への畏敬です。

1.聖霊の賜物の最初の一つは、上智です。それは、単に知識や経験から来る人間的な知恵ではありません。ソロモンはイスラエルの王として戴冠した時に上智の賜物を求めたと聖書は語っています(列王記上3,9)。上智とはまさに、すべてのことを神の眼差しで見る恵みです。端的に言って、世の中や、状況、機会、問題、これらのすべてを神の目で見ることだと言えましょう。これが上智です。時々、わたしたちは物事を自分の好みや、その時の気分で、愛や憎しみや妬みをもって眺めてしまうことがあります。しかし、これは神の眼差しではありません。上智は、わたしたちがすべてのことを神の目で見るようにとの、聖霊の働きかけです。これが上智の賜物です。

2.英知は当然、神との親しい関係、御父とその子としての、神とわたしたちの深い絆から得られるものです。そして、わたしたちがこの神との深い絆を持つ時に、聖霊は上智の恵みを与えるのです。わたしたちが主との交わりにある時、聖霊はわたしたちの心をいわば変容し、主の温かさとわたしたちを大切にするその愛のすべてを感じさせてくれるのです。

3.聖霊はこうしてキリスト者を「英知ある者」とします。しかしこれはすべてのことに答えられ、すべてを知っているということではなく、神を知っているという意味です。キリスト者は神がどのようになさるかを知り、あることが神から来たものか、そうでないかを知るのです。キリスト者は神がわたしたちの心に与えてくださったこの賢明さを持っています。知恵ある人の心は、この意味において、神の「味わい」を知っています。わたしたちの共同体においてこうしたキリスト者の存在はどんなに大切でしょうか。彼らの持つすべてが神を語り、神の現存と愛の素晴らしく生き生きとしたしるしとなるのです。

これはわたしたちが急ごしらえでできることでも、自分たちの努力でどうなるものでもありません。これは聖霊に従順であろうとする人々に神が与える賜物なのです。わたしたちの中、心の中には聖霊がいます。わたしたちは聖霊に耳を傾けることも、傾けないこともできます。もし聖霊に耳を傾けるならば、聖霊はわたしたちに知恵の道を示し、神の目で見て、神の耳で聞き、神の心で愛し、神の正義で判断する賢明さを与えてくれるでしょう。これが聖霊が与えてくれる上智です。わたしたち皆がそれを得ることができます。ただそれを聖霊にお願いすれば良いのです。

一人のお母さんが子どもたちと一緒に家にいるところを想像してください。一人の子が何かをすると思えば、別の子がまた何かをしたりで、お母さんは子どもたちのために右往左往です。子どもたちに大声で怒鳴ることは上智でしょうか?どう思いますか?これは上智ですか?違いますね。そうではなくて、お母さんが子どもを抱き上げ、優しくとがめながら、「これはしてはいけません、なぜなら…」と忍耐強く言い聞かせるならば、これは神の上智でしょうか?そうです!これこそ聖霊が人生の中でしてくれることなのです。

また、例えば結婚生活があります。夫と妻がけんかをして、お互いに顔も見ない、あるいは互いに嫌な顔をする、これは神の上智でしょうか?違います!では、「さて、嵐も過ぎたし、仲直りしましょうか」と言い、また仲良く生活を再開する、これは上智ですか?そうですね。これが上智の賜物です。この上智が家の中に、子どもたちとの間に、わたしたち皆に与えられますように!

これは自分で学ぶことではありません。これは聖霊からの贈り物です。ですから、わたしたちは「聖霊を送ってください」「上智の賜物を与えてください」と主にお願いしなくてはなりません。神の上智は、神の目で見、神の心で聞き、神の言葉で話すことを教えてくれます。この上智と共に進んで行きましょう。家族を、教会を築き、互いに聖化し合いましょう。さあ、上智の恵みを主に願いましょう。上智の座である聖母にこの賜物を祈り求めましょう。聖母の取次ぎによって、上智の賜物がもたらされますように。








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