2013-07-26 16:42:29

ブラジル訪問:教皇、ファヴェーラで住民と交流、「連帯と分かち合い」をアピール


教皇フランシスコは、25日、リオデジャネイロのスラム地区に赴き、住民らと交流された。

ブラジル訪問4日目の午前、リオデジャネイロ市庁舎で「市の鍵」を贈られた教皇は、2016年夏に同市で開催されるオリンピックとパラリンピックの旗をそれぞれ祝別。ブラジルのスポーツ関係者らとも言葉を交わされた。

続いて教皇はリオデジャネイロの市街地から、ファヴェーラ(スラム街)に向かわれた。

リオ北部郊外にあるマンギニョス地区は、同市におよそ700あるといわれるファヴェーラの一つ。近年のファヴェーラ再生計画の対象であるこの地区では、行政やカトリック教会などの協力のもと、住民の生活環境や治安の向上を目指す努力が進められている。

ファヴェーラの坂を上りながら、教皇の車は住民たちの大歓迎を受けた。所狭しと並ぶ住宅にはさまれて建つ極めて簡素な聖堂、サン・ジロラモ・エミリアーニ教会の前で教皇は車を降り、主任司祭やこの地区で奉仕する神の愛の宣教者修道女会関係者らに迎えられた。

ブエノスアイレス大司教時代にも貧しい地区への訪問を大切にされていた教皇は、この小さな教会が地区で果たす使命を深く心に留められたご様子で、人々に囲まれながら聖堂の中でしばし祈り、新しい祭壇を祝別された。

教皇は、主任司祭マルシオ・ケイロス神父の案内を受けながら、マンギニョス地区の一部を住民との集いが行われるサッカー場まで歩かれた。鈴なりの人々の歓声に教皇は笑顔で応え、何人もの赤ちゃんや子どもたちを祝福された。

途中、主任司祭と共に一軒の家に入られ、10分間ほど中に留まられた。教皇はこの家の家族らに迎えられ、共に祈り、記念写真に応じた。

ケイロス神父によれば、この家族に教皇の訪問を知らせたのは前日の晩で、家族らは喜んだり、驚いたりしていたという。生後15日の赤ちゃんも、93歳の婦人もいる、ブラジルの典型的な大家族と教皇はお会いになることができた、と同神父は話した。

サッカー場で行われた教皇と住民たちとの出会いでは、この地区で共に生まれ育ち結婚したという若い夫婦が、皆を代表して歓迎の言葉を述べた。住民たちがリサイクル素材を使用して作った教皇フランシスコの紋章が、額に入れられ教皇に贈られた。

教皇は住民たちの歓迎に深く感謝されると共に、互いに「受け入れる」「分かち合う」うことの大切さを強調。

「分かち合うことを知った時、わたしたちは本当に豊かになれます」と述べた教皇は、愛をもって分かち合い、「真の豊かさは物ではなく、心の中にある」ことを示して欲しいと、人々に呼びかけられた。

そして、「社会の成熟度は、貧しく困窮した人々への対応によって測られる」と教皇は説きながら、いまだ多くの不平等が見られる世界に対し、社会正義に取り組み、連帯の精神を取り戻す必要を訴えられた。

また教皇は、社会の不正を前にして現実に失望しがちな若者たちに「希望のともし火を消してはなりません。現実は変えることができます。人間は変わることができます。悪に慣れることなく、それに打ち勝ち、皆さんが最初に善をもたらす人となってください」と励ましをおくられた。








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