2013-03-31 17:37:52

復活祭2013:教皇のローマと全世界へのメッセージと祝福「ウルビ・エト・オルビ」


カトリック教会は、31日、2013年度の復活祭を迎えた。

前日30日夜、バチカンの聖ペトロ大聖堂で、「復活徹夜祭」をとり行われた教皇フランシスコは、一夜明けた朝、「復活の主日のミサ」を聖ペトロ広場で捧げられた。

聖土曜日の夜まで不安定な天候に見舞われたローマも、復活祭の朝には透き通った青空をのぞかせ、バチカンの大聖堂前に設けられた人工庭園の鮮やかな花木の色と共に、本格的な春の訪れを感じさせていた。

教皇祝福が行なわれる時刻には、巡礼者の波は大聖堂前の大通りまで達し、バチカン一帯は人々の喜びと活気に満ちていた。

教皇は、朝のミサに続き、正午に「ウルビ・エト・オルビ(ローマと世界に向けた教皇の祝福とメッセージ)」を聖ペトロ大聖堂の中央バルコニーからおくられた。

教皇フランシスコの2013年復活祭メッセージは次のとおり。

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ローマと世界の兄弟姉妹の皆さん、主の御復活おめでとうございます。

「キリストは復活された」この知らせを皆さんに伝えることは、わたしにとってどれほど大きな喜びしょう。この喜ばしい知らせが、各家や、家庭、特に苦しみのある所、病院や刑務所に届くことを心から望んでいます。特に、すべての心にこの大きな喜びが届くことを望みます。なぜなら神はまさしくその心の中にこそ、この「善い便り」の種を蒔くことを望んでおられるからです。

「イエスはよみがえられました」。あなたのために希望があるということです。あなたはもう罪の支配下、悪の支配下にはないということです。愛が、憐れみが勝利したのです!神の憐れみはいつも勝利するのです!

復活の朝まだきに、イエスの墓に赴き、それが空になっているのを見たイエスの女弟子たちのように、わたしたちもこの出来事の意味について自問したいと思います(ルカ24,4)。

イエスが復活したということは、何を意味するのでしょうか。それは、神の愛は悪よりも、死よりも強いということです。それは、神の愛はわたしたちの生命を変容させ、わたしたちの心に存在する荒れ果てた場所にも花を咲かせるということです。神の愛にはこれができるのです。

神の御子が人となり、謙遜の道を極みまで歩み、自分自身を完全に与え尽くし、神との別離の淵にまで下らせたこの愛、この憐れみの愛そのものが、死に横たわるイエスの身体を光で満たし、変容させ、永遠の生命へと移行させたのです。

イエスは以前の生命、地上の生命に戻ったのではありません。そうではなく、神の栄光の生命の中に入られたのです。その神の生命の中に、わたしたちの人間性をもって入られました。こうして、わたしたちにも未来の希望を開いてくれたのです。

これが復活です。それはあの「出エジプト」のような一種の「脱出」です。 罪と悪への隷属から、愛と善の解放に向かう「過越し」なのです。なぜなら、神は生命、生命そのものであり、神の栄光は、わたしたち「生きている人間」だからです。

親愛なる兄弟姉妹の皆さん、キリストは一度だけ死に、そして永遠にすべての人々のために復活しました。しかし「復活の力」「悪の束縛から善の解放へのこの過ぎ越し」は、いつの時代にも、わたしたちの人生の具体的な場で、毎日の生活の中で、実現しなければなりません。

今日でも、人類はどれほどの「荒野」を越えなければならないでしょうか。 神への愛が、隣人への愛が欠ける時、創造主なる神が我々に託したすべてを保護することへの自覚を欠く時、彼の中には荒野が広がっています。

しかし、神の憐れみは、いかなる不毛の地にも花を咲かせ、干からびた骨にすら生命を再び与えることができるのです(エゼキエル37,1-14)。

ここで皆さんに呼びかけたいと思います。キリストの復活の恵みを受け入れましょう!神の慈しみに新たにされ、イエスに愛されながら、その愛の力にわたしたちの生活をも変容させましょう。そしてこの神の慈しみの道具、水路となり、その水路を通して神が地を潤し、全被造物を守り、正義と平和を花開かせることができますように。

そして、復活のイエスに願いましょう。死を命に、憎しみを愛に、復讐を赦しに、戦争を平和に変えることができますようにと。そうです。キリストはわたしたちの平和です。キリストを通してわたしたちは全世界の平和を祈り求めるのです。

中東に平和を。特に和平の道を模索するイスラエルとパレスチナ間で、いまや長く続きすぎた闘争に終止符を打つための勇気と取り組みの姿勢を当事者たちが取り戻しますように。イラクに平和を、すべての暴力が完全に終結することを祈ります。特に、愛するシリアのために、闘争に傷ついた人々、救援と慰めを待つ多くの難民のために祈ります。いったいどれだけの血が流されたことでしょう!この危機に政治的解決を見つけるまでに、この上どれだけの苦しみが加えられなければならないのでしょうか?

いまだ血なまぐさい闘争の舞台であり続けるアフリカに平和を。マリが一致と安定を取り戻しますように。ナイジェリアでは残念ながらテロ攻撃が続き、無実の人々の生活が著しく脅かされるのみならず、子どもを含む多くの人々がテロリストの組織に拉致されています。コンゴ民主共和国と中央アフリカ共和国に平和がありますように。これらの国々では多くの人々が自分の家を離れ、まだ恐怖の中に暮らしています。

アジアに平和がありますように。特に朝鮮半島で、不一致を乗り越え、刷新した和解の精神を再び育むことができますように。

安易な利益を求める人々の強欲によって分裂し、人間の命と家族を脅かす利己主義によって傷ついた世界に平和がありますように。人を物のように扱うエゴイズムは、現代世界に最も広がった奴隷制です。

麻薬流通に結びついた暴力や、天然資源の不平等な搾取によって苦しむすべての世界に平和を!わたしたちの大地に平和を!復活したイエスが、自然災害の被災者に慰めをもたらし、わたしたちを被造物の責任ある保護者としてくださいますように。

親愛なる兄弟姉妹の皆さん、そしてローマや世界でわたしに耳を傾けているすべての皆さんに、詩編の言葉をおくります。「恵み深い主に感謝せよ。慈しみはとこしえに。イスラエルは言え。慈しみはとこしえに」 (詩編118,1-2)。

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また、教皇はこのメッセージの後、聖ペトロ広場に集った巡礼者たちと、テレビやラジオ等の中継を通して精神的に参加している人々に、次のように挨拶された。

「親愛なる兄弟姉妹の皆さん

世界のあらゆる国々から、キリスト教の中心地としてのこの広場を訪れてくださった皆さん、そしてメディアを通じてわたしたちと繋がっているすべての皆さんに、心からのお祝いを申し上げます。復活祭おめでとうございます。

皆さんのご家族に、そして皆さんのお国に、毎年、この日に力強く蘇える、この喜びと希望と平和のメッセージを伝えてください。

罪と死に勝利された復活の主が、弱く、貧しい人をはじめ、すべての人々を支えてくださいますように。

皆さんの存在、そして皆さんの信仰の証しに感謝します。オランダから寄贈された大変美しい花々にも、心から感謝申し上げます。

皆さんに愛情を込めて繰り返します。復活されたキリストが皆さんと全人類を、正義と愛と平和の道のりにおいて導いてくださいますように。」








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