2013-03-22 16:42:50

「平和を築き、対話の橋を架け、精神的・物質的貧しさと闘う」教皇、駐バチカン外交団との出会い


教皇フランシスコは、22日、駐バチカン外交団とお会いになった。

教皇職開始にあたり行われたこの謁見で、教皇フランシスコは、平和は各自の独善的な価値観によらず、真理のもとに築かれなければならないと強調。平和を築き、対話の橋を架け、世界の精神的・物質的貧しさと闘う歩みに、教皇は世界の国々を招かれた。

教皇の大使らへの言葉は次のとおり。

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大使各位

主席外交官ジャン・クロード・ミシェル大使の、皆さんを代表しての素晴らしいお言葉に感謝します。そして、教皇の世界の抱擁としての意味を込めて、この率直で、しかし感情のこもった挨拶交換のために、皆さんをお迎えできたことを嬉しく思います。実際、皆さんを通して、わたしは皆さんのお国の人々と出会い、ある意味で、彼らの喜びや、悲しい出来事、期待や望みに触れることができるからです。

ここに集った数多い皆さんの存在は、皆さんのお国と教皇庁との関係が実り多く、実に人類の善のための貴重な機会となっていることのしるしです。この地上のすべての人々の善!これこそが教皇庁が心にかけていることです。そして、まさにこの目的をもって、ローマ司教の任務を開始したいと思います。そのために皆さんが代表するお国の友情と愛情に信頼し、この目的を共有できることを確信しています。

また同時に、これが、まだ教皇庁との外交関係を持たない少数の国々との歩みを踏み出す機会となることを望みます。これらの国々の中には、教皇職開始ミサに出席してくださったり、親しみのしるしとしてメッセージをおくってくださった国もありました。心から感謝申し上げます。

皆さんもご存知のとおり、わたしがアッシジのフランシスコにちなんでこの教皇名を選んだことには、様々な理由があります。アッシジのフランシスコは、イタリアとヨーロッパを越えて、カトリック信仰を持たない人々の間でも、広く知られた人物です。

中でも一番知られていることは、フランシスコの貧しい人々に対する愛です。世界にはまだどれだけの貧しい人々がいることでしょうか!これらの人々が出会う苦しみはいったいどれほどのものでしょうか!アッシジのフランシスコに倣い、カトリック教会は世界のあらゆる場所で、貧困に苦しむ人々のお世話をし、守るよう努力してきました。皆さんのお国の多くで、キリスト者たちが、病者や、身寄りのない子どもたち、ホームレスの人々、そして疎外されたすべての人々を助けるために働き、より人間的で正しい社会の構築のために努力していることと思います。

しかし、別の形の貧しさも存在します。それは今日の時代の精神的貧困であり、最も豊かであると考えられている国々にも重大な影響を及ぼすものです。わたしの前任者、親愛なる尊敬すべきベネディクト16世は、それを「相対主義の独裁」と呼んでいます。これは人々を自分勝手に生きるままにし、人々の間の共存を危険にさらしてしまうのです。

こうして、わたしがフランシスコの名を選んだ2番目の理由に至ります。アッシジのフランシスコは言いました、「平和のために働きなさい!」と。しかし、真理なくして平和はありません!各自がそれぞれの価値観で生きるならば、そして、自分の権利だけを主張し、地上のすべての人々が共有する自然をはじめ、他の皆のものでもある善に留意することなしに、真の平和はあり得ません。

ローマ司教のタイトルの一つは「ポンテフィチェ(教皇の意)」、すなわち神との、また人々の間の「ポンテ(橋)を築く人」であります。わたしたちの対話がすべての人々との橋を築き、こうして、他の人々の中に敵や競争者としての姿でなく、受け入れ抱擁すべき兄弟の姿を見出すことができますように!

わたし自身の出自がわたしに橋を架けるようにと促します。そうです、ご存知のように、わたしの家族はイタリアの出身です。そのために、わたしの中には、互いに離れた土地と文化、世界のひとつの端からもう一つの端との生きた対話が常にありました。今日、こうした間の距離は縮まり続け、互いを必要とし、出会いを求め、真の兄弟的な空間を作り出そうとしています。

この動きの中で、宗教の役割もまた基本的なものです。実際、神を忘れた状態で、人々の間に橋を架けることはできません。その逆も同様です。他の人々を無視して、神との真の絆を生きることはできません。

それゆえに、様々な宗教間の対話を強めることは重要になってきます。特にイスラム教との対話は重要だと思います。わたしの教皇職開始のミサにイスラム世界から多くの政治・宗教の代表が出席してくださったことをとても感謝しています。また、宗教を持たない人々との対話の強化も大切です。互いの違いが、その間を裂いたり、傷つけることなく、むしろその違いにもかかわらず、すべての人々の間に真の友情関係を築くことができますように。

物質的かつ精神的な貧困と闘うこと。平和を築き、橋を架けること。これらを歩みの指標として、皆さんのお国がこの歩みに参加することを望んでいます。このわたしたちの地球を愛することをよりいっそう学ばない限り、それは困難な歩みです。これについてもフランシスコの名を考えることは助けになります。フランシスコは神が作られたすべてのものを尊重すること、わたしたちの環境を守ることを教えてくれます。残念ながら、わたしたちはこれらの自然を善のために用いず、強欲に搾取し、互いに害を与えてしまうことがよくあるのです。

親愛なる大使各位、

平和を築き、友情と兄弟愛の橋を架けるために、バチカンの国務省との協力の下、遂行される皆さんのお仕事のすべてに、改めて感謝申し上げます。わたしの教皇職開始ミサに参加してくださった皆さんのお国の政府に、わたしからの重ね重ねの感謝と、これからの協力が実ることへの願いを、皆さんを通してお伝えください。万能の神が、皆さん一人ひとりと、皆さんのご家族、皆さんが代表するお国の国民を恵みで満たしてくださいますように。ありがとうございました!








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