2012-08-30 18:25:42

駐シリア教皇大使:「武器より、祈りと対話を」キリスト教徒の犠牲者相次ぐ


シリアにおいて内戦が長引き、近い未来が容易に見通せない状況に、市民の不安と緊張が高まっている。

典礼暦で洗礼者聖ヨハネの殉教を記念した29日、駐シリア教皇大使、マリオ・ゼナーリ大司教は、ダマスカス市内のウマイヤド・モスクを訪問、イスラム教徒と共にシリアの平和を祈った。ウマイヤド・モスクは、かつて洗礼者ヨハネに捧げた教会であったが、8世紀にモスクに改築されたため、今でも聖ヨハネの聖遺物が内部に保存されている。洗礼者聖ヨハネは偉大な預言者として、イスラム教においても崇敬されている。

ゼナーリ大司教は、バチカン放送局のインタビューで、内戦状態が続くこのような深刻な状況の中でこそ、祈ることが非常に大切であると話した。

大司教は、「キリスト者であるわたしたちは、テレビの映像で見る『物を破壊する恐ろしい武器』ではなく、他よりも強い、特別な武器、『祈り』をもって、毎日続く残忍な暴力を止めるための回心と非武装を求めていかなければならない」と述べた。

そして、ある小教区の主任司祭が、夜テレビを消して、シリアの平和と和解のためにロザリオの祈りを捧げるようにと、すべての信徒に言ったことなどを紹介した。

教皇大使は、多くの市民の流血が続くことは決してあってはならないことであり、シリアのみならず、人類全体を傷つけるこの状況に対し、国際社会は解決を見つける義務があると述べ、武器を捨て、対話を優先させるための国際共同体の努力を呼びかけた。

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一方、ダマスカス郊外ジャラマナでは28日、キリスト教徒の葬儀の列への自動車を使った爆破テロで、子ども5人を含む12人が死亡、50人以上が負傷した。

この葬儀では前日27日にやはり爆弾攻撃の犠牲となった2人の若者を弔い、人々は棺を墓地に運んでいる途中だった。

ジャラマナは人口およそ60万人で、そのほとんどが少数派の宗教に属している。キリスト教徒はアッシリア教会、カトリック東方典礼、正教会など約25万人。

さらに、29日、ダマスカス南方のザマルカで、アルメニア教会の信者の家族が惨殺された。

カトリック系通信FIDESの伝えるところによれば、ジャラマナとザマルカではイスラム過激派の武力勢力がキリスト教徒を脅かせている。

ダマスカスのカトリック・ラテン典礼のある指導者は、FIDESのインタビューに「イスラム過激派が人々に恐怖を与え始めている」事態を指摘。

同時に、欧米ではシリアのキリスト教徒を政権の協力者のようにしばしば書いているが、それは誤りであると強調した。

「キリスト教徒はシリアの人民と共にあり、平和だけを求めている。しかし、このプロパガンダが、反体制派の中にまぎれこんだテロリストたちに、キリスト教徒攻撃の口実を与えている」と話した。









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