2012-05-14 18:37:55

教皇、サンセポルクロで市民に挨拶、同市創立1千年に


13日、イタリア・トスカーナ州を訪れた教皇ベネディクト16世は、夕方、サンセポルクロ市で市民との出会いを持たれた。

アレッツォ=コルトーナ=サンセポルクロ教区へのこの司牧訪問で、教皇は午前中アレッツォでミサを司式。午後、アッシジの聖フランシスコが隠遁生活をし、聖痕を受けた場所であるラ・ベルナ山中の巡礼聖堂にヘリコプターで向かわれる予定であったが、あいにくの深い霧と雨のために同地の訪問は中止となった。

予定変更のため、教皇はアレッツォから、この日最後の訪問先であるサンセポルクロに直接赴かれることになった。

教皇のサンセポルクロ訪問は、同市の創立1千年を記念するもの。同市の起源は、1012年頃、聖地から帰った巡礼者アルカーノとエディジオがこの地に聖墳墓(サンセポルクロ)と四福音書記者に捧げた聖堂を建てたことにさかのぼる。

また、サンセポルクロをローマ教皇が訪れるのは、メディチ家出身の教皇クレメンス7世(在位1523-1534)の訪問以来、今回、ほぼ5世紀ぶりとなった。

サンセポルクロの大聖堂で教会関係者に迎えられた教皇は、聖体礼拝堂で祈りの時を持たれた。

この後、教皇は大聖堂に近いトッレ・ディ・ベルタ広場に集った市民に挨拶をおくられた。

1千年前、巡礼者アルカーノとエディジオが、シオンの丘から持ち帰った石をもとに、テベレ川上流のこの地にエルサレムのイメージを持った平和と正義と希望のある「人間の町」を建設しようとした、その高い理想に教皇は感銘を表された。

そしてキリストの弟子としてよりよい社会を築こうとする彼らの勇気ある考えが、ベネディクト会、カマルドリ会のカリスマによって引き継がれ、次第にサンセポルクロの町が形作られていった経過を思い起こされた。

創立者たちの理想は今日に伝えられ、それがサンセポルクロの町と教会のアイデンティティーを形成するだけでなく、そのキリスト教的理想を守り推進するという現代の挑戦をも提示していると教皇は強調。

サンセポルクロ創立1千年を機会に、自分たちの信仰の歩みを内面から見つめ、今日の歴史と思想に豊かに流れ続けるキリスト教精神のルーツを再発見して欲しいと、市民らに願われた。

今日の世界は、社会の中で働く福音に照らされた信者を必要としていると述べた教皇は、自分の利益よりも共通善を優先し、新たな公共道徳を生みだすための貢献にすべての人々を招かれた。

さらに、教皇は若者たちに対し、勇気をもって前進し、正直さと愛他主義という「塩」をもって、文明社会に新しい味を与えていくようにと、熱い励ましを述べられた。








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