2012-05-13 17:42:10

教皇、伊トスカーナ州・アレッツォでミサ「貧しい人々に連帯を」


教皇ベネディクト16世は、13日、イタリア・トスカーナ州のアレッツォを司牧訪問、市内の公園でミサをとり行われた。

現教皇のトスカーナ州への訪問は今回が初めてとなる。

教皇の訪問は、アレッツォ=コルトーナ=サンセポルクロ教区の聖職者・修道者・信者らとの出会いを通して、人々の信仰を励ますことを目的とするもの。

同教区は、アレッツォ、コルトーナ、サンセポルクロの3教区が、1986年の合併により誕生した教区。アレッツォに司教座大聖堂(カテドラーレ)を置き、他の2つの構成教区にも司教座に準じる大聖堂(コカテドラーレ)を持つ。

教皇はこの訪問で、アレッツォのほか、アッシジの聖フランシスコにゆかりの深いラ・ベルナ、今年、町の創立1千年を祝うサンセポルクロに赴かれる。

この日、聖ペトロと聖ドナートに捧げられた大聖堂をはじめ、町中の教会が教皇を歓迎して喜びの鐘を響かせた。教皇ミサの会場となった大聖堂隣接の緑地公園は、早朝から地元やトスカーナの周辺教区の信者たちでいっぱいになった。ミサにはイタリアのマリオ・モンティ首相および政府要人らも参加した。

ミサの説教で教皇は、この日朗読されたヨハネ福音書(15,9-17)の「あなたがたが出かけて行って実を結び、その実が残るようにと、 わたしがあなたがたを任命したのである」(同15,16)というイエスの言葉を引用しながら、教会全体、わたしたち皆が、福音と救いをもたらすために世界に遣わされている、と強調された。

教皇は4世紀の司教・殉教者でアレッツォの保護聖人である聖ドナート、同地の大聖堂に葬られている福者教皇グレゴリオ10世、ラ・ベルナを中心に同地方に足跡を残したアッシジの聖フランシスコら、多くの聖人たちによって彩られた同教区の豊かな霊的遺産を回想。

また同時に、詩人ペトラルカ(1304-1374)や画家・建築家ヴァザーリ(1511-1574)など、当時の文化に大きな影響を与えた人々を輩出し、人間の自由や権利、社会や文化の対話を常に追求してきた都市アレッツォの歴史を振り返られた。

一方で、今日の同地方が直面する現実に目を向けられた教皇は、この地域にも例外なく打撃を与えている現在の経済危機に言及。問題の複雑さがこの危機から脱するための効果的な解決を遅らせ、最も弱い人々の生活を困難にし、若い人々に将来の不安を与えている状況を憂慮された。

教皇はこうした中、教会が歴史の中で唱えてきた、貧しい人々への連帯と具体的な慈愛の業、必要を満たした簡素な生活の推進、人々に深い精神的危機をもたらす物質主義からの脱却を改めて見つめるよう招かれた。

そして、同地方が、教会の協力と共に、人々の基本的な権利を擁護し、人間の顔を持った都市の構築を目指し続けることを願われた。








All the contents on this site are copyrighted ©.