2011-09-23 15:30:58

ドイツ司牧訪問:教皇、連邦議会で講演「善と悪を判断し、正義と平和に奉仕を」


教皇ベネディクト16世は、22日、ドイツの連邦議会で講演を行われた。

ドイツ司牧訪問を首都ベルリンから開始された教皇は、ヴルフ大統領、メルケル首相と相次ぎ会談された後、連邦議会で政治家らとの出会いを持たれた。

議員らの温かい拍手に迎えられた教皇は、法治国家の基盤に関する考察をテーマに掲げ講演された。

教皇は、旧約聖書の列王記上から、王位に就いたばかりの若きソロモンが、夢枕に立った主から願うものを与えると言われ、成功や豊かさ、長寿、敵を排除することではなく、「あなたの民を正しく裁き、善と悪を判断できるように、聞き分ける心をお与えください」(列王記上 3,9)と答えたエピソードを引用。

政治家の仕事は成功や物質的利益を目的とせず、正義のために取り組み、それによって平和の基礎となる条件を作り出すことと教皇は述べ、成功は二義的なものであり、成功は時に法を歪め、正義を破壊する誘惑への道にもなると話された。

「法を取り上げてしまうなら、国家は無頼者の大集団とどういう違いがあるのか」という聖アウグスティヌスの言葉を示された教皇は、ドイツはその歴史的経験から、権力が法から離れ、法に対抗し、法を踏みにじる時、国家は法の破壊の道具、よく組織化された無法者の集団となり、世界全体を脅かす存在になることを知っていると指摘。

人類が歴史上、想像できないほどの力を持ち、人間が世界を破壊する恐れさえある今日、善と悪、真の権利とそうでないものを見分ける力を持つことがとりわけ重要になっていると説かれた。

世の中の大方の問題においては、多数派の意見が判断の基準となるが、人間と人類の尊厳が左右される問題については、数による判断は十分でないとも警告。

自然法と良心を基礎として発展してきたヨーロッパの法と権利の歴史を振り返りながら、神の前における責任の自覚と、すべての人間の侵すことのできない尊厳の認識の中に、法は作られ、守られるべきと教皇は強調。

今日こそ、政治家をはじめ人々は善と悪を判断できる聞き分ける心を望み、それによって正義と平和のために奉仕しなければならないと述べられた。








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