2011-09-11 17:59:31

「聖体から出発しよう」教皇、アンコーナを訪問、イタリア全国聖体大会閉会ミサ


教皇ベネディクト16世は、11日、イタリア中部・マルケ州のアンコーナを司牧訪問された。

この訪問は、アンコーナと周辺都市を会場に今月3日より行われていた、第25回イタリア全国聖体大会の閉会式参加を目的とするもの。

聖体大会は、聖体への愛を高めることを目的とした聖職者と信徒の集会で、国際レベルのものと国内レベルのものがある。

この朝、アンコーナに到着した教皇は、アドリア海に面した造船所の広場で、およそ10万人の参加者を前に、イタリア全国聖体大会の閉会ミサを捧げられた。

教皇は、青い海を背景に、2本のマストを立てた白い船をかたどった舞台から説教を行われ、私たちの日常生活を変容させ、より平等で兄弟愛に満ちた社会への道を示す、聖体の力に人々の注意を向けられた。

人間は石をパンに変えられるという幻想に陥り、神を除外して権力や経済力だけで発展や物質的豊かさ、平和をもたらそうとしたが、それは歴史によって否定されてきたと教皇は指摘。人は自分だけで生きることはできず、神から出発し、神との関係を見出すことで、人生に深い意味を与え、それをより良く正しいものとすることができると述べられた。

キリスト者が「主の祈り」の中で、神の名が聖とされること、御国の訪れ、そして御旨が行われることを祈るように、私たちの世界と生活に神の重要さを取り戻し、神を第一に据え、神のための時間と空間を持つことが、御旨を知り、本当の真理と善を追求するために今必要とされていると話された。

神を第一に据えること、それはどこから始めたらよいのか、教皇はそれは聖体に近づくことから始まると強調。聖体は私たちの困難な歩みに力を与え、私たちに寄添い、私たちをキリストに似た者に変容させていくと説かれた。

キリストに養われた者、聖体の前に跪く者は、もはや、困難にある兄弟たち、苦しむ人類の前に無関心でいることはできないと教皇は述べ、聖体の霊性とは、私たちの生活を覆う個人主義と利己主義に対する特効薬であり、聖体によって私たちは家族をはじめ、人々との関係の中心にある無償性を再発見すると話した。

そして教皇は、聖体の霊性によって、私たちが人類や社会の様々な問題に目を向け、一人ひとりの人間の価値を見失うことなく、受け入れと支援の手を差し伸べることができるようにと願われた。

このミサの会場となった造船所は現在不況のために事業を停止しているが、教皇は今日深刻さを増している就労問題にも言及。聖体の力が人々の生活と仕事に尊厳を取り戻し、不安定な雇用や失業問題を乗り越える道を示すことができるようにと祈られた。

また、正午のアンジェラスの祈りで、教皇は2001年9月11日に起きた米国同時多発テロの犠牲者の冥福を心から祈られ、暴力と憎しみを拒否し、連帯と正義、平和な社会の構築への努力を各国の政治家やすべての人々に呼びかけられた。

この後、教皇はアンコーナ=オジモ大司教区の司牧センターにて、失業状態にある労働者や、カリタスの支援を受けている人たちと昼食を共にされ、人々の話に耳を傾けられた。








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