2011-08-21 15:51:38

WYDマドリッド前夜祭:教皇「キリストの愛にとどまり、逆境や未来を恐れない」


16日からスペインのマドリッドで行われていた世界青年の日(ワールドユースデー、WYD)大会は、21日の閉会式に向けて大詰めを迎えた。

20日、マドリッドのクアトロ・ヴィエントス空港で、教皇ベネディクト16世を迎え、閉会前夜の祈りの集いが行われた。

この日は朝から各国の旗を立て、リュックサックを背負い会場に向かう若者たちの行列が途絶えることなく続いた。クアトロ・ヴィエントス空港はサッカー場およそ41枚分に相当する広さを持つが、昼過ぎにはすでに参加者たちでいっぱいとなり、教皇が到着した開始時刻にはおよそ200万人に達した。

教皇が舞台に立ち腕を広げて挨拶をおくられると、会場からは割れるような拍手が起こり、参加者らの歓喜は最高潮に達した。

前夜の集いは宗教行列で始まり、若者たちが十字架と聖母のイコンを運んだ。

次に代表の青年たちがそれぞれの人生や信仰上の問題を教皇に投げかけ、聖書朗読が続いた。

教皇は代表の青年たちの率直な言葉に感謝を述べられ、人生に何かより大きなものを求める若者たちへの回答として講話を行われた。

この日は非常に暑かったが、午後から夕立を思わせる雲が立ち込めた。前夜祭の頃には時折雨が降り始め、教皇が講話を始められた頃には、雨風が舞台や会場に強く吹きつけた。このため教皇は途中で講話を中断されたが、世界中の若者に各国語で挨拶をおくるため、再び言葉を続けられた。

教皇は講話の中で、中断した部分も含めて、次のように話された。

教皇は、若い人がキリスト教の信仰に忠実にあると共に、現代社会の中で大きな理想を追求し続けるにはどうしたらよいのかと問いながら、その答えとして、「父がわたしを愛されたように、わたしもあなたがたを愛してきた。わたしの愛にとどまりなさい」(ヨハネ15,9)というイエスの言葉を示された。

「そうです、親愛なる皆さん、神は私たちを愛しておられます。これは私たちの人生の偉大な真理であり、すべてに意味を与えるものです。私たちは偶然や不条理のたまものではなく、私たちの存在の根源には、神の愛の計画があるのです」と教皇は強調。

「キリストの愛にとどまるとは、信仰に根を下ろして生きること」と述べつつ、信仰とはいくつかの抽象的な真理を受け入れることではなく、愛の神秘に私たちの心を開き、神の愛を自覚して生きることを可能にしてくれるキリストとの親密な関係にほかならないと話された。

教皇は、キリストの愛にとどまり、信仰に根をおろすなら、逆風や苦しみの中でも喜びの源泉を見出すことができるだろうと説き、「どのような逆境も皆さんを押しつぶすことがないように。世を、未来を、皆さんの弱さを恐れてはなりません。主は、皆さんが信仰によってその御名を地の至るところに伝えるように、皆さんが歴史の今この時を生きることを望まれたのです」と若者たちを励まされた。

さらに教皇は、この前夜祭を、社会や教会における各自の召命を再発見する機会にして欲しいと呼びかけ、忠実で解くことのできない絆、命の恵みに開かれていることを自覚した上での結婚、イエスの呼びかけに答え従う司祭や修道者への召し出し、など、それぞれの道を知りそれを誠実に生きるには、友として主の愛にとどまることが不可欠と指摘された。

友達との友情を保つには頻繁な出会いと会話、希望や苦しみを分かち合うことが必要なように、イエスとの友情を育てるためには、アヴィラの聖テレジアの言葉にあるごとく「友情をもって対話する」祈りが必要と教皇は述べつつ、若者たちを聖体礼拝へと招かれた。

雨風が増し、前夜祭が一時中断している間も、若い人々の活気と喜びがもたらす陽気さは変わらず、参加者は皆、会場にとどまり、歌いながら、辛抱強く進行の再開を待った。

教皇は10分ほどして再びスピーチを再開され、6ヶ国語で会場の若者たちに挨拶をおくられた。

最後に行われた聖体礼拝を教皇は最も大切なものと位置づけ、聖体の前で長い祈りの時を持たれた。

この聖体礼拝のために、トレド大聖堂から3メートル近い高さを持つ、16世紀製作の見事な聖体顕示台が運ばれた。祈りに集中する教皇の姿を目に焼き付けながら、深い沈黙に包まれた広大な会場で、200万人の若者たちも静かに祈り続けた。

教皇は集いの終了に、暴風雨というハプニングを振り返り、「親愛なる若い皆さん、私たちはこの冒険をひとつになって過ごしました。キリストの信仰に固くとどまり、皆さんは雨にも耐え抜きました」「今晩のように、キリストと共に皆さんは人生の試練に立ち向かうことができます。このことを忘れないでください」と話しながら、参加者らがよく眠り休めるよう気遣われると共に、悪天候にもかかわらず皆が寛大に示した模範と犠牲に心からの感謝を表された。








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