2011-05-09 19:07:16

教皇、ベネチア訪問「神の愛の眼差しをもって、人と社会の調和ある発展に寄与を」


教皇ベネディクト16世は、北イタリア司牧訪問2日目の8日午前、ベネチア市のメストレでミサを捧げられた。

メストレはベネチア本島と海を隔てた陸地側にある地区で、行政の中心と歴史・観光地区を抱える本島に対し、市民の居住地区、商・工業地としての役割を担っている。

メストレの緑地公園で行われた教皇ミサには、青い空の下、北東イタリアをはじめ周辺国から30万人以上の信者が集った。教皇は特別車で会場を一巡され、人々の熱い歓迎に応えられた。

ミサの説教で教皇は、享楽主義や物質的な消費主義に覆われた文化と、変貌の早い社会の中で、人間存在の本質に不安を感じている現代人に希望をもたらす必要を説き、キリスト者は、すべてのもの、すべての人を神の愛の眼差しで見つめながら、人間と社会の調和ある発展に寄与していかなければならないと、呼びかけられた。

ミサ終了後、教皇はメストレから船でベネチア本島に戻られた。教皇の搭乗した船を囲んで、大小様々の船が水上のパレードのように続いた。大運河ではおよそ5万人の信者や観光客らがこれを見守った。

総大司教館で司教らと昼食を共にされた教皇は、午後、サン・マルコ大聖堂でベネチアの教会関係者らとの集いを持った。

この集いは、ベネチア教区が数年にわたり進めてきた総大司教による教区全土司牧訪問を、教皇と教区民との出会いによって完成に導くことを目的としている。

教皇はこの出会いで、すべての人に信仰と希望、慈愛のメッセージをもたらすという使命を胸に、新しい福音宣教の道を信頼をもって進み、社会の現実の様々な状況下でキリスト者としての勇気ある証しを行うよう、聖職者や修道者、信者らを励まされた。

この後、教皇はベネチアでの最後の訪問先、サンタ・マリア・デラ・サルーテ教会に赴かれた。

同教会はサン・マルコ広場から大運河を隔てた対岸にそびえるバロック様式のバジリカで、付属の図書館や、隣接の神学院を持ち、ベネチア教区の司牧と育成の重要な拠点となっている。

教皇はベネチア総大司教アンジェロ・スコラ枢機卿に伴われ、ゴンドラで同教会に向かわれた。夕陽の差す大運河のおだやかな水面を教皇のゴンドラはゆっくりと進み、多数のゴンドラがこれに続いた。

サンタ・マリア・デラ・サルーテ教会で教皇は、地域の文化・芸術・経済界を代表する人々を前に、「水」「サルーテ(健康)」「セレニッシマ(ベネチア共和国の呼称)」の3つのキーワードをキリスト教のメッセージに照らした短い講話を行われ、ベネチアが美や知識、民族の交流に育まれつつ、世界を変える福音の力に信頼し、キリストの示す道を歩み続けることができるようにと話された。

続いて、同教会の修復を終えた聖トリニタ礼拝堂と、再編成を行った教区立図書館を祝別した教皇は、北イタリア司牧訪問の全日程を終了され、同日夜ローマに戻られた。








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