2011-01-20 15:56:58

「苦しみを希望に」教皇、子どもを亡くした両親たちに


教皇ベネディクト16世は、19日、子どもを亡くした両親たちの会の関係者とお会いになった。

一般謁見終了後に教皇が出会いを持たれたのは、不慮の事故などで子どもを失った両親たちからなる団体「天国の子どもたち・天と地をつなぐ翼」のメンバーらとその家族、指導司祭たち。

教皇は両親らに「絶望や落胆に負けることなく、十字架の下の聖母マリアのように、苦しみを希望に変えていってください」と温かい励ましの言葉をかけられた。

また、家族と共に参加した若者たちに対して、「活発な毎日にも、何事にも危険を考慮し、慎重さと責任を忘れることがないように」と願われ、特に車を運転する時には、自分と他者の命の大切さを念頭に置くようにと話された。

子どもを亡くすという悲劇に見舞われた家族を精神的に支援する司祭たちの寛大な奉仕に教皇は感謝され、亡くなったすべての子どもたちの冥福のために特別な祈りを約束された。

「天国の子どもたち」の会は、フランシスコ会士アンジェロ・デ・パドヴァ神父によって始められた。

デ・パドヴァ神父によれば、この活動のきっかけは、彼自身の体験にあるという。同神父は、かつて兄を突然失ったが、苦しみに打ちひしがれ、絶望の底に沈んだ両親を見て、「何かをしなくてはならない」と考えた。

2004年、交通事故で亡くなった2人の少女のために毎月ミサを捧げ、苦しむ少女の母親たちに共に祈るよう招いた。次第にこのミサには他の母親たちが参加するようになり、教会は信仰と祈りに心のよりどころを求める人たちで満ちていった。やがて会は20グループとなり海外にも広がった。

この活動では、亡くなった子どもたちのためにミサを捧げ、祈るほかに、喪に服す人たちへの精神的支援を行う。

家族を失った人が悲しみを乗り越えるには、信仰はもちろんであるが、感情を素直に表現できる場が必要と、デ・パドヴァ神父は言う。悲劇の際、遺族にかけられる慰めは、単なる言葉の域を超えないことが多く、悲しむ人を実際に受け入れる場所、苦しみを愛に変えていく過程が求められると説く。

同会では、アフリカでの幼稚園の設立など海外宣教を支援する事業や、カリタスでのボランティアなどに参加することを通して、大きな悲しみを少しずつ前向きなものに変えていくよう促している。

「子どもを失った両親が悲しみの中に留まると、残された子どもたちは兄弟を失っただけでなく両親までも失ったように感じる」と述べた同神父は、「壊れた塀の隙間に緑が生えるように、悲しみからも希望を見つけることが大切。難しいことだが、イエスと人々との交わりからそれは可能です」と話した。







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