2010-12-16 18:49:44

2011年世界平和の日:教皇メッセージ「宗教の自由、平和への道」


来年2011年1月1日に記念される「第44回世界平和の日」に向けた教皇ベネディクト16世のメッセージが、教皇庁広報局を通して発表された。

カトリック教会は、毎年1月1日を「世界平和の日」とし、戦争や分裂、憎しみや飢餓などのない平和な世界が来るように祈っている。この記念日は、ベトナム戦争下の1968年、時の教皇パウロ6世の呼びかけによって始められた。

来年度の世界平和の日の教皇メッセージは、「宗教の自由、平和への道」をテーマに、全15章から構成されている。

教皇は特に相次ぐ暴力に脅かされ移住を余儀なくされているイラクをはじめ中東のキリスト教徒たちにカトリック教会全体からの連帯を伝えると共に、世界の様々な地域で宗教の自由が否定あるいは制限されているのは痛ましいことであると述べている。
宗教の自由は人間の尊厳そのものに根差すものであり、その超越性は無視されたり、なおざりにされるべきではないと教皇は強調。

宗教の自由は、良心の自由の根源であり、信者たちが彼らの一部である信仰を否定しないかぎり、市民として活動できず、権利も得られないのは、理解しがたいことであると記している。

教皇は、平和構築における宗教教育の重要性を指摘され、両親は強制無く自由に、責任をもって、自分たちの信仰、価値、文化を子どもたちに伝えることができなければならないと述べている。

基本的権利と自由の中でも、宗教の自由が占める特別な役割を示しながら、教皇はすべての人は自分の宗教を個人または共同体として、公的・私的に表明する権利があり、他の宗教を信じたり、何も宗教を持たないことに対してもそれを妨げることがあってはならない、また、宗教の自由は信者だけの財産ではなく、人民全体の財産であるとしている。

宗教の自由の共同体的・社会的側面に視点を向ける中で、教皇は宗教共同体が社会にもたらす貢献に触れ、信者が社会生活で福祉や教育、文化において果たす役割はもとより、政治分野に宗教が与える倫理的貢献の重要さを示された。

一方で、教皇はあらゆる形の宗教の過激主義・原理主義を非難すると共に、宗教に対する敵意を煽り、信者たちの市民・政治生活における役割を制限することがあってはならないとしている。

また、グローバル化した世界において社会の多民族・多宗教化が進む中、宗教指導者たちは相互尊重と対話を通して、平和を促進するように招かれており、政治・外交においても宗教のもたらす倫理的・精神的遺産が意識されるようにと願われている。

世界は神を必要とし、正義ある平和な社会秩序の構築のために、倫理的・精神的・普遍的で分かち合える価値を必要としていると教皇は述べ、平和のために必要な真の武器とは特に道徳であり、そのためにも宗教の自由はその歴史的・預言的使命と共に、平和とより良い世界の構築に貢献するだろうと記している。







All the contents on this site are copyrighted ©.