2010-12-02 17:47:42

神の愛と摂理への確信、ノリッジのジュリアンを考察、教皇一般謁見


教皇ベネディクト16世は、1日、水曜恒例の一般謁見を行われた。

この日のカテケーシスで、教皇は14~15世紀のイングランドの女性神秘家で、カトリック教会と英国国教会の双方から尊敬を受けるノリッジのジュリアンを紹介された。

ノリッジのジュリアン(1342-1430頃)が宗教家として生きた時代、教会は教皇がアヴィニョンからローマに帰還した後の大分裂に苦しみ、人々の生活はイングランドとフランス間に続いた長い戦争によって疲弊していた。こうした試練の時代、ジュリアンはその生き方を通して人々の心に平和と愛と喜びを再び呼びかけた。

ジュリアンは、1373年に重い病気にかかり生死をさまよったが、この時の幻視体験をその後「神の愛の啓示」という本に著した。彼女はその中で、この幻視によって啓示されたものは愛であり、「私たちの主とは愛を意味する」と述べている。

神の愛に促され、ジュリアンはノリッジの聖ジュリアノ教会の隣の独房の中で隠遁者として暮らすという思い切った道を選んだ。この隠修生活で、ジュリアンは祈り、観想し、学究しながら、多くの人々の訪問を受けた。彼女は人々に霊的助言を与え、彼らの「母」となった。

教皇は、ジュリアンの生き方を振り返りつつ、神の友として神と共に生きるために世から身を引き、何も所有しないが、訪ねて来る人々と気持ちよく分かち合い、人々の罪や弱さに大きな憐れみを抱くことができる、こうした隠修生活者たちを賛美された。

そして、今日、修道院で観想生活をおくる男女修道者に思いを向けられた教皇は、これらの修道者の存在が現代において平和と希望のオアシス、全教会の貴重な宝としてますます大切になっていると話された。

ジュリアンのメッセージは、神から愛され、神の摂理から守られているという確信に根ざしたものであった。

また、ジュリアンの神秘神学で最も特徴的なことは、しばしば神の愛を母性愛と比較することであった。地上の巡礼者である人間に対する神の優しさ、配慮、愛情の大きさは、子らに対する母の愛に喩えられるものであると、教皇は述べられた。

そして、「神の約束は、私たちの期待以上に大きいものです」と述べた教皇は、悪や苦しみを前にしても神の摂理の計画において信頼と希望を失わず、堅く信仰に留まり、すべては善に帰着すると完全に信じることを学んだノリッジのジュリアンのメッセージを改めて皆に示された。







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