2010-03-25 17:35:56

「信仰と科学」聖アルベルトをテーマに、教皇一般謁見


教皇ベネディクト16世は、バチカンで24日、水曜恒例の一般謁見を行われた。

謁見中のカテケーシス(教会の教えの解説)で、教皇は中世の教会文化の考察として、13世紀の偉大な神学者、聖アルベルト司教・教会博士を取り上げられた。

その深い学識と聖性によって「偉大な(マーニュス)」との呼号を持つ大聖アルベルトは、13世紀初頭ドイツに生まれ、青年時代イタリアのパドヴァで文法、修辞、弁証、算術、幾何、天文、音楽などいわゆる「自由学芸」を学び、特に自然科学に対して大きな関心を示した。

次第に修道生活への望みを育んでいった彼は、ドミニコ会に入会。司祭に叙階された後、各地のドミニコ会の修道院で教鞭をとり、さらにパリ大学で神学研究を深めた。1248年、ケルンで神学の講義を開始。アルベルトと共にパリからケルンにやってきた弟子たちの中に、アクィナスの聖トマスがいた。相互の尊敬に満ちたこの師弟関係は学問の発展に大いに寄与した。

1254年、アルベルトはドミニコ会のドイツ管区長に選ばれた。また、当時の教皇の神学顧問を務めたほか、1260年から1262年、レーゲンスブルグの司教として熱心に働いた。

その後、教皇の命でドイツとボヘミアで説教活動を行い、ケルンに帰ってからは教職と研究・執筆に専念した。1274年の第2リヨン公会議では重要な役割を果たした。1280年にケルンの修道院で帰天した。

アルベルトは1931年、ピオ11世によって列聖され、教会博士として宣言された。

教皇は、偉大な神の人であると同時に、神学や哲学はもとより、物理や数学、天文学、生物学など幅広い学問の人であった大聖アルベルトの生涯を振り返り、その学識ゆえに彼がピオ12世より自然科学の保護者と宣言されたことなどを紹介された。

信仰と祈りに生きた聖アルベルトは同時に自然科学の研究を発展させ、小宇宙から大宇宙に至るまでの知識と自然の法則を見出しながら、神への渇きと愛を高めていったと教皇は述べ、その生涯は信仰と科学が対立し合うものではないことを教えてくれると話された。

また、聖アルベルトがアリストテレスの思想を中世の哲学・神学の中に取り入れたことは、当時の文化には革新的なことであり、その神学体系がやがて聖トマスによって完成されていった経過を思い起こされた。

教皇は、神学と区別される哲学の独自の形成に大聖アルベルトが寄与したことを指摘しながら、この2つの知識が真理と至福を求める人間の真の召命を見出すために対話と調和のうちに協力し合うものであることを強調された。

謁見後半、教皇は参加者への挨拶で、翌25日に「神のお告げ」の祝日が記念されることを示しながら、神の呼びかけに対するマリアの受諾に倣い、若者たちには社会に福音を伝える活力となっていくように、病者たちには神の御旨への信頼を新たにし苦しみを全人類への贖いとして変容させていくように、また若い夫婦たちには相互の愛とキリスト教的価値に基づく家庭を築くようにと願われた。







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