2010-01-14 14:41:22

バチカン外交団に教皇の新年の挨拶、平和と環境問題を考える


教皇ベネディクト16世は、11日、バチカン駐在の外交団と新年の挨拶を交換された。

この日、教皇宮殿の王宮の間には、昨年末バチカンとの完全な外交関係に入ったロシア連邦をはじめ、教皇庁と正式外交を結ぶ178カ国と欧州連合、マルタ騎士団、さらに特別外交関係にあるパレスチナ解放機構、そして国連各組織等の代表が一同に集った。

外交官への挨拶で教皇は、2010年度世界平和の日メッセージのテーマ「平和を築くことを望むなら、被造物を守りなさい」に照らし、環境保護と平和の関係に注視しながら、今日の世界情勢を一望された。

経済危機の深刻な影響が社会の安定を揺るがしている現状に、限界をわきまえない利己主義、物質主義がこうした金融危機を引き起こしただけでなく、自然環境の破壊をも招いていると教皇は警告された。

環境破壊との戦いにおいて経済・政治的な抵抗が障害となっていることに教皇は懸念を示され、昨年末のコペンハーゲン国連気候変動会議でも見られた困難さに言及。今後のボンとメキシコの会議でこの重要問題への対応を目的とした合意を得ることができるよう期待された。

真の平和の構築には、環境保全と人間の命の尊重の問題を切り離すことはできないと教皇は述べ、人間の尊重が自然への責任をも育てると強調された。

教皇は世界の環境と平和の問題を展望する中で、アフリカ大陸の土地の搾取的利用と環境汚染による農耕可能地の砂漠化を取り上げ、経済的に恵まれない人々の不利益とならないような天然資源の適切な管理、自然環境に配慮した農・工業生産計画の必要を説かれた。加えて、天然資源の利権争いを原因とした多くの闘争が平和を脅かしている状況をも指摘された。

また、アフガニスタンやラテンアメリカのいくつかの国で農業が麻薬栽培と結びついていることに対し、平和構築のためにこの状況を改め、深刻な道徳・社会問題の原因となっている麻薬売買をなくすため国際社会の一層の努力を呼びかけられた。

貧しい国々をはじめ、世界各国で多くの予算が国民の発展のためではなく、軍備増強に使用されていることを遺憾とした教皇は、今年5月にニューヨークで行われる核不拡散条約運用検討会議で、地球を核兵器の脅威から解放すべく、軍縮への歩みを明確にすることを願われた。

武器製造・輸出が闘争や暴力を悪化させる中、闘争の当事者らが暴力の連鎖と市民の苦しみを抑える力を持たず、他国や国際組織の無力感、世論の無関心がそれに加わり、平和構築を妨げている状況、またテロが多くの無実の人々を危険にさらしている状態に、教皇は暴力を捨て、平和の喜びに心を開くよう強いアピールを繰り返された。

さらに、教皇は貧困と飢餓、自然災害などのために祖国を離れざるを得ない人々に連帯を示されると共に、中東をはじめ各地で困難を体験しているキリスト教共同体に思いを向けられた。

教皇は、不一致や緊張を乗り越え国家間の建設的対話に努力する国々を励まされると共に、聖地をはじめ平和が切望されるすべての地域に安定がもたらされるよう祈られた。







All the contents on this site are copyrighted ©.