2009-11-10 17:03:51

教皇、北イタリア・ブレーシャを司牧訪問、パウロ6世を回想


教皇ベネディクト16世は、8日、北イタリアのブレーシャとコンチェージオを司牧訪問された。
ブレーシャは、ロンバルディア州ブレーシャ県の中心都市。コンチェージオはブレーシャにほど近い町で、教皇パウロ6世(ジョヴァン・バッティスタ・モンティーニ、在位1963-1978)の生誕地である。

今回の教皇の訪問は、帰天から30年を経たパウロ6世の足跡やその精神遺産をたどるもの。

この日は時折雨の降る天候となったが、教皇は各訪問地で市民らの温かい歓迎を受けられた。

早朝、教皇はまずブレーシャ東郊外、ボッティチーノ・セーラの教会に、聖アルカンジェロ・タディーニの墓を訪ねられた。

聖アルカンジェロ・タディーニ(1846-1912)は、ブレーシャ県出身の教区司祭。小教区を活性化させ、信者の生活に深く寄り添い、司牧のために惜しみなく自身のすべてを捧げた。最初の工業化が進む19世紀末の北イタリアで、貧困層や労働者の司牧に心を砕き、「ナザレの聖なる家修道女会」を創立し、若い女子工員らの教育に当たった。1999年10月に教皇ヨハネ・パウロ2世によって列福、2009年4月に現教皇によって列聖された。

同聖人の墓前で祈られた教皇は、「タディーニ神父の証しは、神を愛し、互いに他者のために生きる兄弟愛の世界の構築にすべての人を招くものである」と信者らに話された。

続いて、教皇はブレーシャ市内でミサをとり行われた。ミサの前に教皇は、市内のロッジャ広場に赴かれ、1974年に同広場で起きたテロ事件の犠牲者のために祈られた。
 
ミサ会場となった司教座大聖堂前のパウロ6世広場には1万2千人が集い、この他市内の中心地区に多くの熱心な信者たちがあふれた。

説教でベネディクト16世は、パウロ6世ゆかりの地ブレーシャでミサを捧げる喜びを表され、同教皇が全力をもって愛し、追求した教会、強く、キリストに根ざし、人々と共にあり、現代社会と対話する教会の姿を見つめられた。

教皇は、パウロ6世が晩年に記した黙想と遺言『死への考察』を以下のように引用。

「私は教会を常に愛し…そのためだけに生きたと言ってもよい。ただ、教会にはそのことを知って欲しい」「私はそれ(教会)をすべて理解したく思う。その歴史、神のご計画、最終的な姿、複雑かつ全体的で唯一のその構成、人間的で不完全なその内容、その災難や弱さ、その多くの子たちの哀れさ、忠実・愛・完徳・慈愛へのその永遠の努力を」「私はそれを構成するすべての人々を抱擁し、挨拶をおくり、愛したい」「神の祝福があなた(教会)の上にあるように。あなたの本質と使命を意識するように。人類の真の深い必要を知るように。貧しく、すなわち自由に、強く、愛をもってキリストに向かって歩むように」。

教皇は、パウロ6世の教会への愛を熱く語る言葉にこれ以上何も付け加えることはないと述べつつ、特にパウロ6世が望んだ「貧しく、自由な教会」こそ、現代の人類との対話を可能にするだろうと話された。

そして、パウロ6世の計り知れない豊かな精神遺産に学び、すべての人がそれぞれの賜物と使命を持って教会に奉仕していくようにと願われた。

午後、教皇はブレーシャ市内のパウロ6世司牧センターを訪問し、次いでパウロ6世の故郷、コンチェージオに向かわれた。

コンチェージオで、教皇はパウロ6世の生家やパウロ6世が洗礼を受けた教会を訪ねられ、地元の人々と歓談されるなど、同教皇の少年時代の足跡に触れられた。

また、設立されたばかりのパウロ6世教育センターを祝別、同館に保存されたパウロ6世に関する貴重な資料をご覧になった。

こうして、1日にわたる訪問を終え、教皇は同日夜バチカンに戻られた。







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