2009-09-08 18:34:44

教皇、ヴィテルボ教区を司牧訪問


教皇ベネディクト16世は、6日、イタリアのヴィテルボ教区を司牧訪問された。

「兄弟たちを力づけてやりなさい」(ルカ22,31)をテーマとしたこの訪問で、教皇は同教区の2市、司教座所在地で「教皇の町」として知られるヴィテルボと、聖ボナベントゥーラ(司教教会博士、1217頃-1274)の生地バーニョレージョを訪れ、人々の信仰を励まされた。

ローマの北西およそ80kmに位置するヴィテルボは、13世紀、教皇が居住したことで、聖座の実質的な機能が移された一時期があった。教皇選挙「コンクラーベ(鍵をかけて、の意)」の語源も、ヴィテルボで行なわれた教皇選出をめぐる出来事に由来する。教皇宮殿など、繁栄期を偲ばせる中世の町並みが保存されている。

この朝、ヴィテルボに到着されたベネディクト16世は、教皇宮殿を訪問された後、「ファウルの谷」において、信者のためにミサを捧げられた。

ミサの後半、正午のアンジェラスの祈りで、教皇はポーランドのクラクフで開催の「人間と宗教」世界会議の参加者に挨拶をおくられた。第2次世界大戦勃発から70年経った今、人類の歴史上最も恐ろしい闘争の一つであるこの戦争を忘れず、平和を考え祈ることの大切さを説かれると共に、ホロコーストの悲劇に言及。犠牲者や心身に大きな傷を受けた人々のために祈り、このような非人間的な出来事を二度と繰返すことのないようにしなければならないと述べ、平和のために愛と連帯、相互理解の文化を次世代に伝えていく必要を強調された。

ミサに続いて、教皇は、同市の保護聖人、聖ローザ・ダ・ヴィテルボの巡礼聖堂を訪問、聖女の墓前で祈られた。また、先日9月3日の伝統祭で使用された有名な「サンタ・ローザの山車」をご覧になり、山車の担ぎ手の人々と言葉を交わされた。

午後、教皇は、クエルチャの聖母巡礼聖堂において、ヴィテルボや周辺教区の観想修道会の修道女らとの集いを持たれた。同市郊外にあるこの巡礼聖堂の由来は15世紀にさかのぼる。一枚の瓦(かわら)の上に描いた聖母子画を森のクエルチャ(樫)の木に掛けていたところ、様々な奇跡によって人々の信心を集めるようになり、そこに教会が建てられた。

教皇は、観想生活の沈黙の中で燃える祈りと神への愛によって、教会のともし火であり続けて欲しいと修道女らに願われ、特に「司祭年」にあたり、司祭と神学生、また召命のための祈りを託された。そして、クエルチャの聖母のために特別に作られた祈りを参加者と共に捧げられた。

夕方、教皇はヴィテルボの北28㎞にあるバーニョレージョに赴かれた。

バーニョレージョは、先史時代からの起源を持つ町で、中心部から離れ、険しい谷を隔てた岩山の上に孤立する「チヴィタ地区」の特異な景観で知られる。中世の神学者・聖ボナベントゥーラ(ジョヴァンニ・フィダンツァ)はこの地を出身とする。

教皇は、聖ボナベントゥーラの聖遺物の前で祈りの時を持たれ、この偉大な教会博士のキリストに根ざした叡智に学ぶよう、司祭をはじめ、人々を招かれた。

一日の訪問を終えられた教皇は、カステルガンドルフォの離宮に戻られた。







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