2009-02-11 18:31:22

第13回奉献生活者の日・教皇メッセージ(2009.2.2)


親愛なる兄弟姉妹の皆さん。

すでに13年前から続いているこの「奉献生活者の日」にあたり、ミサの終わりにここに集った多くの修道者や修道女の皆さんにお会いできることは、私にとって大きな喜びです 。
教会の伝統において使徒聖パウロは常に、キリストと福音への奉仕に主から呼ばれ、そのために無条件に身を捧げることを選択した人々の父、また先生としてみなされてきました。

多くの修道会は聖パウロの名前を会の名前としていただき、彼からそのカリスマを受けています。聖パウロはすべての修道者たちに率直で愛情にあふれた呼びかけを今も繰り返していると言えましょう。「わたしがキリストに倣う者であるように、あなたがたもわたしに倣う者となりなさい」(1コリント11,1)。

奉献生活とは、徹底的にキリストに倣うこと、従うこと、これ以外の何でありましょう。キリストに従いつつ、キリストに倣うこと、これこそが教会の中で特別な奉献によって召された皆さんが、その召命に応えるための特別な恵みに満ちた道なのです。

聖パウロ自身の言葉から、私たちは清貧・貞潔・従順という福音的勧告に特徴づけられる奉献生活の本質を表す生活のあり方を知ることができます。

清貧の生活の中に、聖パウロはまったく無償で実現される福音宣教の保証と、同時に必要にせまられている兄弟たちへの具体的な連帯を見ていました。この清貧に関しては、自分自身の手で働いて生活を維持したり、エルサレムの貧しい人々のために自ら寄付を集めたりした聖パウロの決意を私たちは皆知っています。

パウロはまた、より大きな自由と献身をもって兄弟たちに奉仕するために、貞潔への主の呼びかけに応え、主にその心をまったく捧げ尽くしました。さらに、キリスト教的貞潔の価値があまり認められていない社会にあって、その確かな価値を示したのです。

従順に関しては、神のみ旨を行うこと、日々ふりかかる心配事、あらゆる地方の教会に対する気苦労などが、神によみされるいけにえとしての聖パウロの生活を生かし、形成し、そして消耗し尽くしていったということを指摘するだけで十分でしょう。これらすべては、彼自身がフィリッピの教会に宛てた手紙の中でも書いているように、彼にとっては生きるとはキリストであり、死ぬことは、まさにもうけだと言わせるに至ったのです。

聖パウロの奉献生活のもう一つの基本的な面は、ミッションです。パウロはイエスのように「すべての人々にとってすべてとなるため」に、まったくイエスのものとなりました。「何とかして何人かでも救うために、すべての人に対してすべてのものとなったのです」(1コリント9,22)。

これほど強くキリストに結ばれていた聖パウロに、霊的生活と宣教生活を結びつける深い能力を認めることができます。聖パウロにおいてこの二つの次元は互いに強め合っているのです。

パウロの生き方は、観想的であると同時に活動的であり、彼は神に開かれていると同時に、福音への効果的な奉仕を実現するために兄弟たちにも開かれている「神秘的活動家」の群れに属していたと言えるでしょう。

この神秘的使徒的な特長において、使徒パウロがいつも持っていた様々な難しい問題に対処する上での勇気と、「あなたには私の恵みだけで十分である。力は弱さの中に現れるからである」と言う主のみ言葉の上に立ち、殉教に至るまでのゆるぎない彼の信頼を強調したく思います。

聖パウロの霊的な体験は、彼自身が過ぎ越しの神秘を具体的に生きたことの証しです。聖パウロはこの過ぎ越しの神秘を深く研究し、キリスト者としての生き方の典型として告げたのです。

パウロはキリストによって、キリストと共に、キリストの中に生きました。彼自身ガラテアの教会へ宛てた手紙の中で「わたしはキリストと共に十字架に付けられました。生きているのはもうわたしではなく、キリストがわたしの中で生きているのです」と書いています。そしてさらにフィリピの教会への手紙の中では「私にとって生きるとはキリストであり、死ぬことはかえってもうけなのです」とも書いています。

これでなぜパウロが、キリストのみ言葉が私たちの中に豊かに住まうようにとの努力を、疲れることなく勧めていたかがよく分かります。

毎朝耳にし、心の中で宝として保存した神のみ言葉と絶え間ない生きた接触を保ち、あらゆる行動の基盤、選択の第一の基準とするよう努力しなさいと、最近皆さんに向けられた教令「権威と従順」が勧める意義を理解させてくれます。

この聖パウロ年にあたって、神のみ言葉を毎日黙想し忠実に読み続け、詩編と賛歌と霊的な歌をもって感謝の中に祈りつつ、聖パウロが残していった証しを自分たちのものとするよう、皆さんに心から願います。

自分たちのカリスマを人々のために役立てながら、特に最も偉大なカリスマ、愛を第一に証しながら、皆さんの使徒的使命を、教会の中で、教会と共に、交わりの精神をもって実現できるよう、聖パウロが皆さんを助けてくださいますように。

親愛なる兄弟姉妹の皆さん、今日の典礼は最高の奉献者聖母マリアに目を向けるよう私たちに勧めています。聖パウロは聖母について、聖母の任務と偉大さを表現する簡潔かつ効果的な言葉をもって語っています。「時が満ちると、神の御子は女から生まれた」(ガラテア4,4)。

マリアはお告げの際に、「み旨のままになりますように」と言った従順の行為に沿って、今日その子を神殿で御父に奉献する母親です。

神と兄弟たちへの寛大な奉仕の実現において、聖母マリアが、神の子であり、また聖母の子でもある私たちを支え、共に歩んでくださいますように。皆さん一人ひとりとその修道会のために使徒的祝福を贈りつつ、聖母の天からの取次ぎを祈ります。
 







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