2009-01-08 19:01:51

「平和への努力を諦めてはならない」教皇、在バチカン外交団と新年の挨拶交換、日本の列福式にも言及


教皇ベネディクト16世は、8日、各国の在バチカン大使らと新年の挨拶を交わされた。

この日、教皇宮殿の「王宮の間」には、バチカンと正式外交を結ぶ178カ国および欧州連合、マルタ騎士団、さらに特別外交関係にあるロシア連邦、パレスチナ解放機構、そして国連各組織等の代表が一堂に集った。

教皇は恒例の出会いで、主の降誕の希望の光の下に新年の挨拶をおくりながら、すべての国々と国民に正義と平和に満ちた1年を祈られた。

始めに教皇は、昨年自然災害で大きな被害を受けた国々、また戦争やテロリズムに苦しんだ国々に連帯を示された。

「多くの努力にも関わらず、望まれる平和はまだ遠い」と教皇は述べつつも、平和の文化を構築し、安全と発展を推進する努力を決して諦めてはならないと強調された。

教皇は最近の軍縮と核拡散防止分野における危機を憂慮され、軍事費が貧しい国々の発展のための人的・物的資源を取り上げている状態では、平和を築くことはできないと指摘された。

そして、経済危機の影響で困難な生活を強いられている人々、食糧不足や気候変動で水や食べ物にも事欠く人々など、地球上の多くの貧しい人々への関心を訴えながら、貧しい人々に希望を再びもたらすことの必要を説き、人間の尊厳をめぐる倫理に基づく信頼できる健全な経済システムを整備し、飢餓と闘い地域農業の発展を促すことを急務として示された。

昨年、多くのキリスト教徒への差別や攻撃が相次いだことに対し、教皇はその背景に物的貧しさのみならず、平和を害する倫理的貧しさを見出された。教皇は「キリスト教は自由と平和の宗教であり、人類の真の善に奉仕するものである」と明言すると共に、イラクやインドをはじめとする各地で暴力の犠牲となったキリスト者らに精神的一致を示された。

世界の情勢を展望するにあたり、教皇はまず中東に目を向けられ、中でも市民に計り知れない苦しみを与えている聖地での闘争に、武力ではなく和平への努力を訴えられた。このほか、教皇はイスラエルとシリア間の対話、レバノンの国内一致の推進の必要を述べたほか、イラクに民族・宗教の違いを乗り越えた未来の構築、イランの核問題の交渉による解決を願われた。

アジアにおいては、フィリピン・ミンダナオ島の和平交渉再開や、北京と台北の新しい関係構築など未来に信頼を寄せられると共に、スリランカの闘争にも最終的な解決を希望された。

教皇はアジアのキリスト教共同体について、数の面からは少数派であるが、それぞれの国の共通善や安定、発展のために信念を持って効果的な貢献をし、健全な倫理秩序もたらす神の重要さを証していると述べ、それを雄弁に語るものとして、最近日本で行なわれた188人殉教者列福式に言及された。

アフリカについて、教皇はコンゴ、ソマリア、ダルフール地方、ジンバブエ、ブルンジなどの危機に目を向けながら、すべての人々、特に子どもたちの基本的権利が守られるよう願われた。

さらに、ラテンアメリカ諸国には、貧しさからの解放、基本的権利の推進、移民の家族の保護、麻薬売買や贈賄との闘いを、バルカンやカフカス地域には、少数派の尊重をアピールされた。

最後に、教皇は苦しみや貧しさの中にあるすべての人々に思いを向けられ、その中で最たる存在として「まだ生まれていない子どもたち」や、孤独な病者や高齢者、分裂した家族などに心を寄せられた。

そして、人間の尊厳や、責任ある自由、人間の生活における神の存在の認識などに基づく共通の価値観と理想を通して、人々が兄弟愛を育くむ時、人類は貧困と闘うことができると述べられた。







All the contents on this site are copyrighted ©.