2008-09-14 18:26:03

教皇、ルルドを巡礼、人類の苦しみと希望を聖母に託す


フランス司牧訪問中の教皇ベネディクト16世は、13日午後、聖母巡礼地ルルドに向かわれた。

このたびの教皇の訪問は、ルルドの聖母出現150周年を記念するもの。

フランス南西部、ピレネー北麓の町ルルドは、ヨーロッパで最も重要な聖母巡礼地の一つ。聖女ベルナデッタ・スビルーへの聖母出現の出来事と、身心の癒しをもたらすとされる泉の水で知られ、現在、年間600万人が訪れる。

1858年、谷間の寒村ルルドの郊外マッサビエルの洞窟で、14歳の貧しい少女ベルナデッタは18回にわたって聖母の出現を受けた。聖母は自らを「原罪の汚れなく宿った者」と名乗り、少女に罪人のための祈りや償いを勧めた。また、聖母が示した場所を少女が掘ると泉の水が沸き出でた。後、この泉の水による癒しが報告されるようになった。

読み書きができず、初聖体さえまだ受けていない少女の語ることがらに、人々は驚きと疑いを示し、教会も厳密な調査を遂行。その結果、少女の誠実さと、泉の水は成分的に普通の地下水と変わりないものの、医学では説明しがたい効力があることを認めた。ベルナデッタは、1866年、ヌベール愛徳会に入会し修道女となり、1879年、35歳で帰天した。

今年2月11日で、マッサビエルの洞窟における聖母の出現より150周年を迎えた。これを記念してルルド聖母巡礼聖堂では、昨年2007年12月8日無原罪のマリアの大祝日より、今年の12月8日まで、1年にわたる特別聖年が開幕されている。

この日、パリからルルドに到着された教皇は、さっそく他の巡礼者たちと同様に、特別聖年のために定められたコースをたどって、巡礼地の各所を訪れ、祈りを捧げられた。

教皇がこの夕方巡礼されたのは、4つの巡礼箇所のうち、ベルナデッタが洗礼を受けた小教区の洗礼堂、「カショ」と呼ばれるスビルー家の住まい、マッサビエルの洞窟の3所。教皇はそれぞれの場所でひざまずき、黙想と祈りの時をもたれた。

特に、マッサビエルの洞窟では、ベルナデッタの時代・地方の衣装をつけた少女が、教皇に泉の水を汲んだコップを差し出し、教皇はそれを受け取り飲まれた。そして、教皇は聖母に人類の喜びと苦しみ、病者とすべての人々を託した祈りを上げられた。

教皇の訪問に合わせ、ルルドには大勢の巡礼者が訪れた。同日夜行なわれたろうそく行列では、そぼ降る雨と寒さにも関わらず、人々のかかげる光の波がどこまでも続いた。

行列の終了時、教皇は巡礼者たちに「光」をテーマとした講話をされた。

復活の主のいのちをまとった聖母の輝きはベルナデッタの顔を照らし、マッサビエルの光は彼女自身の中に住んだのですと、教皇は話され、貧しさ、病気、人々の無理解など、少女はその身に背負った多くの苦しみの中で、「光は暗闇の中で輝いている」(ヨハネ1,5)という言葉のとおり、地上の闇に輝く天の光と出合ったのであると説かれた。

教皇は「ルルドは光の場所です」と述べ、この交わりと希望、回心の地で、どんな暗い時代をも乗り越え、150年間にわたって灯され続けてきた人々の信仰の光に思いをはせられた。

聖母から祈りを学び、聖母と共に祈りながら人々の苦しみに心を開くよう招かれた教皇は、暴力、戦争、テロ、飢餓の無実の犠牲者、また災害、不正義、憎悪や抑圧、人間の権利と尊厳の侵害のもとにある人々、家庭問題や失業、病気や孤独に苦しむ人々、移民、そしてキリストの名の下に迫害される人々のために祈られた。







All the contents on this site are copyrighted ©.